2作目は「失敗しがち」なジンクスを打ち破った! 初代を霞ませるレベルで売れた2代目クルマ4台 (2/2ページ)

2代目は革命児が勢揃い!

 インサイトの話が出てきたところで、ホンダ車のなかでも2代目で大ブレークした象徴的な1台として挙げられるのがプレリュードだろう。初代SN型は1978年デビュー。2ドアノッチバッククーペであり、国内より輸出に重きを置いたモデルだった。オプションでフェラーリなども採用するコノリーレザーが選べ、日本国内では初となる電動サンルーフが採用されるなど、ニュース性には富んでいたものの、デザイン的には武骨で、国内のヒットモデルにはなり得なかった。

 が、そんなプレリュードが一気に表舞台に立つことになったのが、1982年に登場した2代目。リトラクタブルヘッドライト、ダブルウイッシュボーンサスペンション、低全高シルエットなどによるスタイリッシュさが新鮮で、女性人気も爆発。日本車初のABS(4wA.L.B)ブレーキの採用も目玉のひとつだった。

 今でも語り継がれる最大の特徴は、運転席側からも助手席のリクライニングが操作できるところにあり、ドライブデート中の男性ドライバーが、隣に乗る女子をマジックのように倒せる裏技(!?)があった。

 たとえばデートマニュアルに強い男性誌、講談社「ホットドッグプレス」世代の評判を呼び(当時、筆者はホットドッグプレスのクルマ、デート記事担当執筆者でもあった)、デートカー、そしてハイソカーとして一躍その名を世間に知らしめることになったのである。そのスタイリングは、今見ても決して古臭さを感じさせないあたりもさすがである。

 その大人気のおかげもあってか、3代目はキープコンセプト。エンジンなどもキャリーオーバーされている。

 トヨタ・シエンタも2代目で大きく躍進したトヨタ最小ミニバンである。初代はミニバンブーム真っ盛りの2003年に登場。どちらかと言えば女性的キャラクター、デザインを用い、コークボトルのような柔らかい(男性から見ればセクシー!?)ソフト感あるエクステリア、片手でポンの簡単操作による3列目席格納アレンジ性(2列目席の下に格納できる)などがウリだった。とはいえ、男性人気は上記の理由もあっていまひとつだったと記憶する。

 そんなシエンタが2代目になったのは2015年。現在でも生産されており、人気継続中である。デビュー当初は「街を泳ぐ熱帯魚」と筆者が表現したカラフル過ぎるボディカラー&トリムの仕様もあった。初代から継承するシートアレンジ性の良さに加え、3列目席も大人が乗れる居住スペースを確保するなどの進化を果たし、ファミリー層にアピール。

 また、待望のハイブリッド車の設定もシエンタ人気を後押しした。が、本当に2代目シエンタが大ブレークしたのは、2018年9月のMC。それまでライバルのフリードにあり(フリード+)、シエンタになかった2列シートのFUNBASEを追加し、以前より落ち着いたエクステリアデザイン、ボディカラーを採用してからだ。

 アウトドアに向くボディカラー、グレード(現在はなし)も加わり、老若男女を問わない空前のアウトドアブームの流れもあって、2019年8月、9月には、国産全乗用車販売ランキングで1位を獲得。コンパクトミニバンとして不動の人気を獲得することになったのである(当時)。

 ミニバンと言えば、今はなきトヨタのエスティマも、2代目で大躍進。初代は1990年デビューで「天才タマゴ」と言われたスタイル優先のミッドシップレイアウトを採用した類まれなミニバンであったものの、5ナンバーサイズが主流だった当時としてはサイズ的に大きく、また凝った仕立てから価格も高めだったため、たとえば1994年に登場して以来、日本の多人数乗用車の定番的1台となったホンダ渾身のミニバン、オデッセイには敵わなかった。

 ところが、ミレニアムの2000年デビューの2代目エスティマは、タマゴ型のボディシルエットはそのままに、両側スライドドアを備えたカムリベースのFFプラットフォームに刷新。おかげで大排気量エンジンの搭載が可能になり、2.4リッター直4、3リッターV6エンジンを搭載。そして2001年にはクラス初のハイブリッドモデルを投入。これで一気にミニバンの主役となりうる要素が揃ったことになる。

 ちなみに2006年に登場した3代目は、コンセプトカーのような洗練されたデザインを纏い、走行性能も大幅にレベルアップ。今でも魅力的に映る超スタイリッシュミニバンだが、ミニバンの主流がボックス型ミニバン(アルファード&ヴェルファイア、ノア&ヴォクシーのこと)に移り変わっていくのに合わせて、2020年に30年に及ぶエスティマの歴史が閉じてしまったのは、本当に残念に思う。

 このほかにも、スズキ・ジムニーや三菱パジェロなども2代目で不動の地位を築いたモデルである。そうした2代目で大躍進したモデルの特徴としては、初代で一定の人気を得て、そこからの期待を背負った2代目を登場させた自動車メーカーの頑張りがあると言うことだろう。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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