【試乗】歩く代わりにC+walk T! 街乗り特化のC+pod! トヨタの次世代EVをガッツリ試した (4/4ページ)

シーウォークティーは歩行者に混じっても違和感のない乗り物

 次に『C+walk T(シーウォークティー)』を試してみた。こちらは1人で立って乗るスクーターのようなもので、かつてアメリカが生み出したセグウェイのトヨタ版と言ってもいいようなものとなっている。

 ステップボードは後輪2輪で支えられ前輪1輪で駆動する三輪車で、前輪はモーターで駆動する。搭乗時は立って乗り、ハンドルを掴んで左右どちらでも親指でアクセルレバーを操作して走らせる。

 バッテリーは取り外し可能なリチウムイオンバッテリーで、電動自転車などにも採用されているような小型で使い勝手の良いものだ。スマートキーをハンドルパネルのアイコンに近づけると起動し、ブレーキレバーの横にあるパーキングレバーを解除してアクセルを操作すればスルスルと走り出すことができる。

 モーターの最高出力は0.35kWでリチウムイオンバッテリーの総電力量は0.27kWhとなっている。トヨタ社内の測定値として気温20度、搭乗者の体重70kg、速度6km/hで平坦路を走行した場合の航続距離距離は14kmとなっている。

 走行速度は2、3、4、5、6、10とボタンスイッチで切り替えることができ、実用登坂坂角度は6度まで。段差の乗り越え高さ25mmを確保していて、段差降り高さは50mm、溝の乗り越え幅は100mmと多少の荒れた路面でも走行可能である。ただ車両重量は29kgあり、階段などを持って移動することは少々厳しいと言えるだろう。

 搭乗者が立って乗りハンドルを握った状態でその横幅は搭乗者の肩幅以内であり、そういう意味では歩道で人々が行き交うなかでも大きな違和感なく溶け込めるような寸法を狙って開発された。最小回転半径は0.59mとその場での旋回が可能というような小まわりが利く。スラロームやターンを試してみると、ハンドル部分がバイクのようにリーンインしないので垂直のまま旋回することになり、搭乗者に横Gがかかるとロールオーバー、あるいはピッチングなどの重心移動が感じられ少々不安な部分がある。また実際のところ歩道の段差など50mm以上あるような場所が多く、空港の施設内やショッピングモールなどの限られたスペースの中で活用するということが、現状では適合性が高いと言えるだろう。発想としては電動シニアカーの直立版であり、トヨタはこのシステムを利用して電動シニアカーや車いすなど、多彩なアレンジをプランニングしていると言う。

 すでに販売されていて、価格は34万1000円〜35万4200円とまだまだ高額で、また現状個人で購入しても使用範囲は私有地内に限られるので急速な普及は見込めない。やはり空港やショッピングモール、あるいは行政との協調で稼働できる範囲が広がれば、新しいモビリティとして一躍を担う存在になり得るということだろう。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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