新車は本当に人生最後になるかも知れない! いま味わわないと手遅れになる「純ガソリンエンジン」車4選+α (2/2ページ)

まだまだ元気だぞ国産ガソリンエンジン車!

 おなじく6速トランスミッションと4気筒エンジンの国産FRモデルとして忘れられないのがマツダ・ロードスターだが、ここではあえてATで楽しく走れる2リッターエンジンを積むロードスターRFをピックアップしてみよう。

 エンジンスペックは最高出力135kW(184馬力)、最大トルク205Nmと平凡で、実際に運転してみてもFRスポーツカーと呼ぶにはもうひとつパンチが足りないと思うかもしれないが、ドライブセレクション(ドライブモード変更機構)でSPORTを選べば、かなりダイレクトにエンジン性能を右足でコントロールしている感触が高まってくる。

 現行ロードスターにはコーナリング中の姿勢を制御することで人馬一体感を強める「KPC(キネマティック・ポスチャー・コントロール)」という制御が入っているが、コーナリング中にクルマとの対話を味わいたいならば微妙なステアリング操作が必須で、そのためには両手でステアリングホイールを保持し続けることのできるATのほうが、むしろ純度が上がるという印象さえある。

 最後のガソリンエンジン車として、エンジンだけに注目するのではなく、車両全体としての一体感を重視するのであれば、エンジン出力に余裕のあるロードスターRFをおすすめしたい。ちなみに、ATグレードのスターティングプライスは348万9200円となっている。

 ここまで日本の平均年収を考慮して、市民感覚でも手の届きそうな300万円台の純ガソリンエンジン車を紹介してきたが、もう少し予算的に頑張れるという方におすすめしたいのがレクサスIS350だ。

 ISといえば、ほとんどがハイブリッドとなっているが、唯一のガソリンエンジン車がIS350だ。そして、このグレードが搭載するエンジンは「2GR-FKS」型で、8速ATと組み合わせられている。

 2GR-FKS型は、2005年にレクサスの日本展開にあわせて導入された2GR系エンジンの最終進化形ともいえる排気量3456ccのV型6気筒エンジン。IS350のスペックを見ると最高出力234kW(318馬力)、最大トルク380Nmとなっている。

 数字の上でも十分なパフォーマンスが期待できるが、このエンジンの美点は絶妙な回転フィールにある。かつてクラウンに搭載されていたとは思えないほどシュンと吹き上がる様は、期待をはるかに上まわるもので、まさに奇跡の名機と呼びたくなる仕上がりだ。

 IS350は「F SPORT」だけのモノグレード構成で、価格は650万円。簡単に手が届くとは言い難いが、その内容を考えれば十分にバーゲンプライスであり、最後の純ガソリンエンジン車として無理をして手に入れても後悔はないだろう。

 ところで、ガソリンエンジンを存分に味わいたいというのであれば、バイクという選択も考えてみるといいだろう。

 四輪では考えられないほどの高回転エンジンは数多く、エンジンと一体になっている感覚は四輪の何倍もの濃度で味わえる。快適性とはほど遠い乗り物だが、エンジンの熱をダイレクトに感じることができるというのはバイクだけの特権といえる。

 筆者はそうした思いもあって、人生最後に味わうガソリンエンジンの乗り物として、ホンダのリッタースーパースポーツ「CBR1000RR-R FIREBLADE」を購入した。総排気量999cc、最高出力160kW(218馬力)というスペックは、市販バイクとしては最高峰といえるものだが、エントリーグレードの価格は242万円。

 バイクとしては強烈に高価だが、「250万円以下で、カテゴリーにおける最高峰のエンジンを買える」と思えば、非常にリーズナブルといえる。

 普通二輪免許しか持っていないのであれば250ccクラスで4気筒エンジンを積んだ「カワサキNinja ZX-25R」に注目したい。まさにエンジンを味わうためのモデルで、スターティングプライスは84万7000円。

 最後の純ガソリンエンジンを楽しむという経の験ための投資として考えれば、納得できる価格ではないだろうか。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
趣味
モトブログを作ること
好きな有名人
菅麻貴子(作詞家)

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