この安さは衝撃的! 日産サクラ&三菱ekクロスEVが日本の電気自動車市場を激変させる (2/2ページ)

補助金利用で200万円以下から買える価格は革命児の素質十分

 では、新しい日産、三菱の新型軽EV、サクラとekクロスEVは、i-MiEV(アイ・ミーブ)と同じような道を辿ってしまうのか?  といえば、そうはならないだろう。時代はEVシフト、電動車が主体となり始めている。充電スポットの数はまだまだ十分とは言えないものの、それでも2006年時点とは大きく違う。一戸建てに住んでいるなら、10万円以下で自宅に200Vの充電設備を設けることもできる。バッテリーも2006年当時から大きく進化しているのも事実。

 そして何と言っても、今回は日産・三菱の合同プロジェクトであり、両車の知見を生かした製品作りのメリットが大きく、i-MiEV(アイ・ミーブ)時代とは違い、購入のしやすさもポイントとなるはずだ。「これからの電動車時代に向けて、近距離用にまずは日産、三菱の新型軽EVからBEVの世界に踏み入れてみよう」というユーザーも決して少なくないはずで、日産アリアの539万円~、リーフの370.92万円~、ホンダeの451万円~に対して約240万円~293万円という、電気自動車としては低価格が実現されているのは嬉しい限り。

 もちろん、2022年度の補助金55万円+エコカー減税1万200円によって、基本装備充実の基本グレード、サクラX、ekクロスEV Gの場合で、実質購入価格(車両本体)はなんと184万円前後からとなり、ガソリン軽自動車の最上級ターボグレード(日産デイズハイウェイスターGターボは164.89万円)の約20万円増しの価格で手に入る(プロパイロット、MIパイロットなどのパッケージオプションは別)。なお、東京都の例を挙げると、さらに自治体からの補助金45万円の優遇策が受けられるというのだから、背中を押されて当然かも知れない。

 充電時間は、シティコミューターとしてジャストなバッテリー容量によって、AC200V/14.5Aの自宅でも行える普通充電では約8時間で満充電、急速充電では約40分で80%までの充電が可能。とくに、ガソリンスタンドが激減している、あるいはガソリンスタンドが自宅から遠い地方ユーザーにとっては、自宅で充電できるメリットは大きいだろう。

 もちろん、全国的に見れば、これ1台で自動車生活のすべてをまかなうわけにはいかないユーザーは少なくないはずだが、EV入門車、セカンドカーとしての需要は大いに期待できる。

 カーボンニュートラルに向けた電動車が注目されている今、日産がリーフに続き、アリアを発売開始した直後というタイミング、リーフ、i-MiEVを長年世に送り出してきた日産、三菱EVの信頼度も、ユーザーの安心につながるはずである。実質走行可能距離こそ長くはないが、補助金制度もあって、想像以上のヒット作、軽自動車のゲームチェンジャー、電気自動車の「革命児」になれる可能性があると予想できる。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

新着情報