「ボディは4タイプ」「40カ国で発売」と16代目の大改革! それでも「クラウン」たる理由 (2/2ページ)

「脱・セダン」の噂の元となった先行開発のクロスオーバー

 さて、4つのバリエーションを発表した新型クラウンだが、これから一年半をかけて時間差でローンチされることになりそうだ。

 その先兵となるのが、クラウン・クロスオーバーである。

 新型クラウンが登場する前に、「クラウンはセダンを捨てる」といった噂も流れたが、それはクロスオーバーが先行して開発されていたからだろう。

 前述したようにエンジン横置きのプラットフォームで、上級グレードでは21インチの大径タイヤを履いたスタイルはSUVテイストが色濃い。だが、クラウン・クロスオーバーは、いわゆるSUVとはまったく違うクルマになっている。

 特徴的なのはトランク(ラゲッジスペース)が独立していることだ。わかりやすくいうと4ドアクーペとSUVのクロスオーバーである。開発途中では「リフトアップセダン」という新カテゴリーを生み出すといった意気込みだったという話も聞こえてくるほど、他に類を見ないユニークなクルマとなっている。

 なお、クラウン・クロスオーバーのパワートレインは、2.4リッターターボと6速AT、前後モーターを組み合わせた「デュアルブーストハイブリッドシステム」と、2.5リッターエンジンと「リダクション機構付きシリーズパラレルハイブリッドシステム」を組み合わせた2パターンとなっている。

 2.4リッターハイブリッドはリヤを水冷のeアクスルで駆動する4WDだけの設定となっている。他バリエーションのパワートレインについての情報は公開されていないが、電気モーターであってもリヤをしっかりと駆動するというのはクラウン・ファミリーとして重要なメカニズムといえそうだ。

 それにしても、このような4つのバリエーションを一気に生み出すのは、開発リソースが分散してしまっているのでは? と思うかもしれないが、そもそも4バリエーションが生まれた背景は、おそらく想像とは異なる。

 クラウンの原点に立ち返り「革新と挑戦」というキーワードで、次世代のクラウンを模索していくなかで、じつに多くのスタイルが生まれたという。その中でダイバーシティ時代にふさわしいクラウンとして残ったのが、この4つのバリエーションということだ。けっして複数のバリエーションありきで開発されていたわけではない。

 前半で、新型クラウンのラインアップを理解するのに、クラウンという車名はカローラのような立ち位置と捉えるとわかりやすいと記したが、けっしてカローラの上級版を目指したわけではなく、「これからの時代のクラウンらしさ」を徹底的に追求した結果として、4つのバリエーションが生まれたと理解すべきだ。

 はたして、トヨタの開発陣が因数分解したクラウンらしさがどのようなものなのか、その走りで確認する日が楽しみだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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