見た目はそんなに変わらずも「改名」は伊達じゃない! 「XV」改め「クロストレック」の地味にスゴイ中身を徹底解説 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■スバルXVがフルモデルチェンジして車名も「クロストレック」に改名した

■サイズや全体のイメージなどは先代モデルを踏襲したキープコンセプトなモデルチェンジ

■細部まで徹底的に見直して煮詰めることで快適性や使い勝手が大幅に向上している

モデルチェンジでもスバルは愚直に細部を熟成

 スバルが新型SUVを公開した。その名はクロストレック。これはXVの海外ネームであり、クロスオーバーとトレッキングの造語だ。国内ネームでいうと、スバルXVとしては3代目、インプレッサXV時代から数えると、4代目のクロスオーバー車となる。

 一見するとマイナーチェンジなのかと思ってしまうほど、キープコンセプトのフルモデルチェンジを実施した。ボディサイズは先代モデルとほぼ変わらず。全長が5mm伸びただけで、ホイールベースの数値も同じ2670mm。プラットフォームはSGP(スバルグローバルプラットフォーム)をインナーフレーム構造化したもので、構造用接着剤の塗布量を劇的に増やすなどして強化。ボディ剛性、というより動的な質感と衝突安全性は、国内外の安全テストでトップクラスの成績をマークしたフラッグシップ車の現行型アウトバックに匹敵するレベルまで高められたという。

 エクステリアは、頼もしさや躍動感を強調する方向でデザイン。スバルお馴染みのヘキサゴングリルは踏襲され、フロントグリルは直線基調から凸凹感を強めたものとなり、厚みを増した顔つきになった。ボンネット部分の物理的な厚みも増しており、よりSUVらしくなったともいえる。キャビンを絞り込むような感じで前後のフェンダーを張り出すなど、ボディサイズは変えずに先代モデルよりワイドに見える工夫を凝らした。

 また、横からみたときの前傾姿勢が強調され、静止状態でも走っているかのように見える雰囲気を醸成。これは現行型レヴォーグなどでも見られる手法で、最近のスバルがよく採用するテイストだ。ボディ後端部はやや下がり気味としており、全体的な塊感を強めている。最低地上高は先代と変わらず200mmを確保。詳細は未公開ながら、AWDシステムの制御も改められ、滑りやすい路面での走行安定性はさらに盤石なものになるという。

 装着されるタイヤは、先代まで採用したヨコハマのブルーアースから、泥濘路にもある程度対応できる銘柄に変わったことからも、これまで以上に悪路走破性能を重視したSUVであることがうかがえる。SUV戦国時代を生き残るため、スバルは比較的小型のSUVクロストレック でも持ち前の得意分野を磨いてほかとの差別化を強める。その一方、かねてより待望されるライトなユーザー向けのFFの設定がどうなるかについても気になるところだ。

 前後バンパーやフェンダーに装備する樹脂製のガードは、オフロード走行時にボディを傷から守るためのシボ模様が施されており、フロントフェンダーには空力向上のためのスリットを追加。このスリット内部には空力テクスチャーと呼ばれる空力性能向上のためのシボ模様が巡らされている。リヤバンパーにも通気用のダクトが設けられているなど、細部にエアロダイナミクス性能向上のための工夫を施した。オフロードのみならず、高速巡航時の操縦安定性の向上ぶりが想像できる。

 さらに、ルーフパネルとブレースの間に振動の吸収性が高く、制振生性に優れるとされる高減衰マスチックの採用により、車内音の収束性を向上させる新しい試みも見られる。クロストレックはスバルのSUVとしてはエントリーモデルにあたるが、コンフォート性の向上にもかなり力を入れて開発されたようだ。


マリオ高野 MARIO TAKANO

SUBARU BRZ GT300公式応援団長(2013年~)

愛車
初代インプレッサWRX(新車から28年目)/先代インプレッサG4 1.6i 5速MT(新車から8年目)/新型BRZ Rグレード 6速MT
趣味
茶道(裏千家)、熱帯魚飼育(キャリア40年)、筋トレ(デッドリフトMAX200kg)
好きな有名人
長渕 剛 、清原和博

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