見た目はそんなに変わらずも「改名」は伊達じゃない! 「XV」改め「クロストレック」の地味にスゴイ中身を徹底解説 (2/2ページ)

広角単眼カメラで高い安全性能を実現する新世代アイサイト

 今回公開されたのは2グレード。名称は未公開ながら上級とスタンダードの2種類が用意されるが、最近のスバル車の例に習い、見た目の違いは最小限にとどまる。上級グレードはフロントグリルやドアミラーなど、細部の配色が異なり、アルミホイールは切削加工デザインの18インチとなる(スタンダードグレードは17インチ)。

※写真は標準グレード

 ボディカラーは、明るめのブルーである「オアシスブルー」と、グレーに近いブルーである「オフショアブルー・メタリック」の2色を新たに追加。

※写真はオフショアブルー・メタリック

 インテリアでは、マルチマテリアルの多層構造とすることで、シンプルに配置された素材の風合いを活かしたという。インパネ中央に配置された11.6インチの液晶パネルが特徴的だ。ハードウエアは現行型レヴォーグなどで使われるものと同じだが、ソフト面は変更。たとえばブレーキのオートホールド機能のスイッチがすぐにタッチできるようになったなど、レヴォーグで指摘された操作性の問題点も改善されている。

 それ以外の部分については、基本的には先代モデルを踏襲したように見えるも、やはり細部はかなり異なる。よりカジュアルな雰囲気を高めた。細部には使い勝手を良くするための細かな工夫が見られる。センターコンソールは位置を高くしてシフトノブの操作性を向上。ふたつのカップホルダーを斜めに配置することで、使いやすさとスペースの効率化をはかった。USBポートの位置も視認しやすい位置に配置され、夜間は電飾される。

 特筆すべきはフロントシートで、シート単体の構造を一新。乗員の骨盤、とりわけ仙骨と呼ばれる部位のホールド感を高め、頭の揺れを抑制。さらに、シートレールのマウント部分の構造もあらため、シートの保持剛性を大幅にアップ。長距離、長時間度ドライブ時の疲労低減効果が期待できるという。上級グレードはファブリック表皮、スタンダードグレードはトリコットとなる。

 ステアリングは現行型レヴォーグなどで定評のある2ピニオン式の電動パワステを採用。ボディ剛性向上もあいまって、甘美と呼べるほど秀逸なステアリングフィールが得られるはずだ。

 運転支援システムアイサイトのカメラ部分は刷新され、アイサイトXのようにガラス面に直接マウント。ウインドウ内側の掃除中など、カメラのレンズ部分に人の手が触れたり、結露で曇ったりすることがなくなった。画角は従来(アイサイトer.3)の約2倍に拡大され、さらに外からみると中央部に広角の単眼カメラが増設されているのがわかる。アイサイトの進化についての詳細は明らかにされていないが、前方の視認精度をさらに高めて安全性を向上させたという。二輪車や歩行者の認識精度が特に高まったようだ。

 さらに、上級グレードでは、フルLED化されたヘッドライトに加え、LEDのコーナリングランプを追加。ほぼ真横に向けて照射することで、夜間の右左折時などに進行方向が明るくなる機能が追加されている。これはスバル車として初採用だ。車両の周辺360度を映し出す3Dビューモニターも用意される。

 パワートレインについても詳細は明かされていないが、排気量2リッターのe-BOXERを搭載ということで、エンジンルームの景観からも従来型のキャリーオーバーであると推察。ミッションはCVTのリニアトロニックで、前述したようにAWDシステムの制御は進化する。

 開発をまとめた毛塚PGMは、「とにかく地味に細部まで徹底的に煮詰め直したので、乗り味の良さには大いに期待してほしい」と走りの良さへの自身のほどを示した。

 一見すると地味なモデルチェンジに見えるが、スバルらしく愚直に細部を熟成させたことがうかがえるし、乗ればビックリの走行性能や動的な質感の高さが得られるというので、過度な期待を抱いて試乗の印象をチェックしたいものだ。


マリオ高野 MARIO TAKANO

SUBARU BRZ GT300公式応援団長(2013年~)

愛車
初代インプレッサWRX(新車から28年目)/先代インプレッサG4 1.6i 5速MT(新車から8年目)/新型BRZ Rグレード 6速MT
趣味
茶道(裏千家)、熱帯魚飼育(キャリア40年)、筋トレ(デッドリフトMAX200kg)
好きな有名人
長渕 剛 、清原和博

新着情報