ライバルは輸入SUV! その狙いは確実に成功! 新型クラウンが成就させたトヨタの願いとは (2/2ページ)

かつてのクラウンとは違うクラウンクロスオーバーの顧客

 クラウンクロスオーバーの目的はわかるが、どのようなユーザーが購入しているのか、そこを販売店に尋ねた。

「クラウンは伝統ある車種だから、以前は、従来型から新型に乗り替えるお客さまが中心だった。しかし、クラウンクロスオーバーでは、従来型のお客さまも含まれるが、その数は多くない。むしろハリアーやRAV4など、個性やカッコ良さを大切にするSUVのお客さまが選ばれている。メルセデスベンツ、BMW、アウディといった海外ブランドのSUVから乗り替えるお客さまもいる。クラウンクロスオーバーを扱うようになり、いままでとは好みや指向性の異なるお客様が来店されている」。

 いまは国産セダンの車種数が減り、海外ブランドの販売比率が増えた。人気のセダンはメルセデス・ベンツやBMWになり、いずれもフォーマルな雰囲気だ。SUV風のクラウンクロスオーバーは、セダンを選ぶユーザーの好みには合わず、SUVからの乗り替えが増えた。

 販売店のコメントで注目されたのは、海外ブランドのSUVを使う外観のカッコ良さや個性を重視するユーザーが、クラウンクロスオーバーに高い関心を寄せていることだ。このような顧客は、従来のトヨタ車にはほとんど見られなかった。つまり、クラウンクロスオーバーは、登録台数は多くないものの、いままでとは違う新しいユーザーに向けて販売されている。

 ちなみに日本におけるレクサスは、着実に売れ行きを伸ばすメルセデス・ベンツやBMWなどの海外ブランドにストップをかけるために開業した経緯がある。そのために海外の開業は1989年なのに、日本は2005年で16年の時間差が生じた。

 クラウンクロスオーバーはトヨタ車だが、前述のとおり海外のプレミアムブランドを使う人達にも受け入れられている。つまり、レクサスの願いがクラウンクロスオーバーで成就したともいえるだろう。

 日本は海外とは異なり、レクサスではなく伝統あるトヨタこそが、もっとも信頼できる崇高なブランドだ。クラウンクロスオーバーの売れ方は、トヨタブランドの底力を明確に示している。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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