【試乗】走りは三車三様! でも快適性と高級感は共通! 新型レクサスRXに一気乗りした (2/2ページ)

スポーティさ重視の500hに対して450h+は上質さが際立つ

 次にPHEVの450h+に乗り換える。RXとしては初めてのPHEVとなるわけだが、トヨタとしてはRAV4でもすでにPHEVを設定している。18.1kWhのリチウムイオンバッテリーをフロア下に抱え込み、86kmのEV走行が可能な航続距離を確保している。バッテリーの分だけ重量は増し、車両重量は500hより60kg重くなる。2.5リッターのガソリンエンジンはD4-S(筒内直接噴射+ポート噴射)で、アトキンソンサイクルで稼働させるのが500hと異なっている。排気量が100cc大きいのはエネルギーの出し入れ効率の最適解を求めた結果だという。

 後輪をモーターで駆動するe-fourシステムもすでにお馴染みなものだ。

 走り出しから巡航領域までEVで走り、トルクフルで扱い易い。フロントモーターだけでも182馬力と強力で、システム出力としては309馬力となる。ただ後輪駆動用モーターは54馬力で500hの半分ほどで、後輪は駆動アシスト的な使われ方となっている。それでも0-100km/h発進加速は6.5秒と俊足で、環境性能の高いPHEVのSUV車としては十分以上といえるだろう。

 良くも悪くもパワートレインのTHS2は乗り馴れた味付けで、無段変速の電気式CVTはときにエンジン回転数が先まわりし、その騒音が気になる。450h+は高級車らしく遮音や防振性には優れているが、エンジンが稼働したときの音色に味わいが感じられないのは残念なところだ。

 燃費性能は高く、500hがWLTCモード燃費でカタログ値14.4km/L、試乗時間中の燃費系では7.6km/Lという数値だったが、450h+はカタログ値18.8km/L、試乗中はほぼEV走行でクリアできてしまった。

 ハンドリングは重量増を感じさせない。バッテリー搭載位置による低重心傾向と高いシャシー剛性が奏功し、安定した質感の高いハンドリングになっている。タイヤの差が500hはミシュラン・パイトッロスポーツ4S SUVとスポーツ性の高い仕様であるのに対し、450h+はブリヂストン アレンザで燃費と乗り心地をより重視しているものだった。

 最後に350を試す。350のパワートレインは2.4リッターの直噴+ポート噴射ターボであるD-4STで、最高出力は279馬力/6000rpm。最大トルク430Nm/1700-3600rpmである。これに8速のトルコンATを繋ぎ、さらに試乗車は電子制御カップリングを介して後輪も駆動するAWD仕様である。

 従来のRXは前輪が空転してから後輪への駆動力配分を行う仕組みだったが、新型では常に後輪へ駆動力配分を行うことで「フルタイムAWD」としている。もちろんカップリング制御は常時最適に制御され、ハンドリングと駆動力のバランスを向上させている。

 ハンドリングは軽快だ。1990kgで3車中最軽量であり、運動性能が高い。ステアリングの操舵力が軽く、女性にも扱いやすいだろう。だた、走りの重厚さが500hや450h+とは明らかに異なり、軽快さと引き換えに重厚さを失っていて、同じRXと思えないような走り味だった。8速ATは常にエンジン回転を抑え低いギヤを使う制御となっていて、アクセルの踏み込みに対してキックダウンが敏感に行われ2〜3速分の変化を促すのでスムースさに欠けている。モーターアシストのないエンジンは過給タイムラグも感じられてしまうので、電動化モデルの上位2車と走行フィールは相当に異なっている印象だった。

 どのモデルにも共通しているのはロングホイールベース化により後席足もとが広く、また後席バックレストが電動でリクライニングするなど居住性と積載性に優れることだ。乗用モデルであるクラウン・クロスオーバーよりも全席快適という印象を受けた。

 レクサス・ブランドを象徴する快適性と高級感は全グレードモデルに共通した魅力として特記しておきたい。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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