走りが楽しいのであれば2輪だっていいじゃないか
マツダからも1台選びたい。新車で買える乗用車のなかで、ディーゼルエンジンとMTのコンビが選べる唯一のブランドだからだ。といってもマツダ6のそれはラインアップから落とされ、CX-30はATのみであるなど、選択の幅は狭まっている。
残ったなかから個人的に考えるなら、グローバルで根強い人気のCX-5。ディーゼルはエンジンが重いので、バランスを取るためにもAWDを選択。CX-60とは対照的な、熟成の旨味を感じさせるしっとりした乗り心地やハンドリングも魅力だ。
残念ながら日本での販売は終了となってしまったが、まだ高年式の中古車が手に入るということで、スズキ・バレーノも紹介したい。
インド製だが走りはスイフトの兄貴分と言いたくなるようなヨーロピアンテイスト。とくにガソリンエンジンの1リッター3気筒ターボは、トランスミッションがCVTではなく6速ATであるうえに、この車格ではいち早くアダプティブクルーズコントロールが与えられていて、高速道路も快適。人気が出なかった分、相場が安めというのもうれしい。
最後にホンダ。現行シビックはタイプRを抜きにしても挙げたいところだが、中古車はタマ数が少なく高値安定なので、2輪ではあるが最近僕が購入したスーパーカブC125を挙げることにする。
スーパーカブと言えば、1958年に本田宗一郎氏と藤澤武夫氏のコンビによって送り出されて以来、60年以上にわたり基本設計を変えずに作り続けられ、累計生産台数は1億台以上という、圧倒的な記録の持ち主。C125はファミリーのなかではプレミアムモデルに位置する。
まだ乗り始めて2か月ほどだが、歯切れ良い排気音を響かせながらリッター50km以上を楽に出す空冷単気筒エンジン、イージードライブと操る歓びを高度に両立した自動遠心クラッチ付き4速トランスミッションなど、予想以上に楽しさにあふれていた。
半世紀以上ほとんど不変のデザインについても言えることだが、コモディティでありながらマシンでもある。この点でスーパーカブを超える存在は、4輪車を含めてもないだろう。日本人なら一度は乗っておくべき逸品だと思う。