曲がる感触もいいしサーキットでも余裕……って値段が高い以外は最高に思える「ハイグリップタイヤ」のデメリットとは (2/2ページ)

デメリットは多いが運転時の楽しさはピカイチ

 では、そういったハイグリップなタイヤを使うときにどんな注意点があるのだろうか。

1)減りが早い

 街乗りであっという間に減ってしまう、ということはないが、じゃあ3万kmも4万kmも走れるかというと正直難しい。

 それでもステアリングを切ったときにレスポンス良く曲がり出す感覚は、ハイグリップタイヤならではのもの。そういった意味で普段乗りから履くのはアリ。

 そして、「サーキットではあっという間に減る」と思われているが、そんなことはない。車種にもよるがサーキットで1回あたり20分の走行を2回する人からしたら、10回や15回は余裕で使える。

 サーキット数回で減ってしまうという人もいるが、そういった場合はタイヤが熱ダレしても全開走行を連続で続けている人が多い傾向にある。オーバーヒート状態でグリグリと捻られたら当然タイヤは減りやすい。適度なクーリングを入れつつ、アタック走行をしていけば、数回でツルツルになってしまうことはない。

2)乗り心地が悪い

 強い荷重がかかったときに支えられるようにサイドウォールの剛性が高くなっているのがハイグリップタイヤの特徴だ。そんなせいもあって、乗り心地はハードに感じがち。快適性だけを求めるならハイグリップタイヤではないほうがいい、というのは間違いない。空気圧調整で多少はアジャストできるが、根本的に剛性が高いのはどうにもならない。

3)走行音が大きい

 ステアリングレスポンスを重視するために、パターンの都合上、どうしてもブロックひとつひとつが大きくなる。そうなると、タイヤが路面を叩く音が発生してしまい、走行ノイズが大きくなる。それでも国産ハイグリップ系は静かなほうで、通称アジアンタイヤと呼ばれる中国、台湾系のタイやだとかなり走行ノイズが大きいモデルもある。

 こういった特性があるので、街乗りオンリーとか、スポーティな走りをしないなら、デメリットも少なからずあるハイグリップラジアルタイヤだが、スポーツタイヤならではの剛性感のある高いフィーリングとグリップ力はなんとも言えない気持ちよさがあるのも事実。機会があればぜひ一度味わってもらいたいところ。


加茂 新 KAMO ARATA

チューニングジャーナリスト

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