災害情報発信チーム「特務機関NERV」はなぜ「三菱アウトランダーPHEV」を選んだのか? 災害に強いクルマに必要な条件とは (1/2ページ)

特務機関NERVが使う災害対策車両を展示中

 ジャパンモビリティショーの三菱ブースにはさまざまな車両が並べられていた。そのなかの1台が特務機関NERV災害対策車両のアウトランダーPHEVだ。災害対策車両とはどんな存在なのか? なぜアウトランダーPHEVなのか? その理由や経緯を代表の石森さんに聞いた。

特務機関NERV 石森氏

特務機関NERVとは?

 そもそも、特務機関NERVとはなんなのか? 簡単にだが改めてその存在を紹介しよう。そのスタートは2010年に遡る。2010年2月に、今や世界的な人気を誇るアニメ「エヴァンゲリオン」シリーズのファンである代表の石森さんがX(旧Twitter)で、アニメの主人公たちが所属する組織の雰囲気を、ファン目線で真似たアカウントを開設したのが最初だ。当初は「ごっこ遊び」として災害情報を発信していたそうだが、東日本大震災をきっかけにその活動は本格化していった。

特務機関NERVのロゴ

 そのなかでも代表的なエピソードが「ヤシマ作戦」だ。東日本大震災の影響で節電が必要になった際に、エヴァンゲリオン本編でも実行された「ヤシマ作戦」とかけて、節電に関するさまざまな呼びかけを発信した。この発信をキッカケに、特務機関NERVというアカウントは情報入手のライフラインとして、必要なものと認められるようになる。

 その後も支持する人たちは年々増え、エヴァンゲリオンの版権元からNERVの使用許諾も得るまでに成長。社会のなかで必要な存在としての立ち位置を確立し、今に至る。

 現在では自社開発の防災アプリもリリースしており、キキクル通知サービス協力事業者の1つとして災害情報の発信を行う役割を担っている。

2019年に災害対策車両を導入

 そんな特務機関NERVでは、「災害対策車両」を導入している。最初に運用を始めたのは2019年のことだ。じつはこの年、北海道で「北海道胆振東部地震」が発生している。

 この際、地震発生(午前3時7分)から、約11時間は全道で停電というブラックアウトが発生。北海道の5割で停電解消となったのは約30時間後。全道停電後、約64時間後の9月8日19時に北海道電力は全道復帰宣言。ただし、小規模なエリアでも停電は続いていたそうで、完全に解消したのはなんと10月5日であった。さらにこのときの停電によって、携帯電話の基地局までダウンしたことを目の当たりにしたのだという。

 ここで課題となったのは、「もしも、本拠地とする東京で大規模な災害があった際に、電源と通信をどのように確保して、ライフラインとしての情報発信が続けられるか?」ということであった。

 その問題に対する彼らの答えが、”プラグインハイブリッド車”を災害対策車両として導入することだった。

三菱アウトランダーPHEV 特務機関NERV仕様車

 当初は災害対策を施した建築物を本拠地とすることなども考えたそうだが、コスト的な問題をはじめ、災害時に安全が確保できる場所に移動できることなどを考え、災害対策車両という形を取ったという。

 そんな彼らが求めたのは、先述の「災害時にも電源と通信を確保してライフラインとして情報を発信し続けること」。さらには、路面状況が不安定な災害時、高い悪路走破性で安全な場所に移動できる機動性を確保できることも重要視した。そこで選ばれたのが、ガソリンを使用した発電によって通信に必要な数日間の電源を確保することが可能で、悪路走破性も高い車両である、三菱のアウトランダーPHEVだったのだ。

三菱アウトランダーPHEV 特務機関NERV仕様車

 その結果、2019年に初号機、弐号機としてアウトランダーPHEVが導入されたが、現在は参号機のエクリプスクロスPHEVと四号機のアウトランダーPHEVという2台体制になっている。


西川昇吾 NISHIKAWA SHOGO

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