「ラリーとドリフトのドライビングはすべてが違うが経験は役に立つ」 FDJ開幕戦でWRC王者ロバンペラに直撃インタビュー!! (2/2ページ)

優勝は逃すも次戦へ向けた気合は充分

 ——ラリーとドリフトでドライビングに違いはありますか?

ロバンペラ選手:説明するのは難しいけれど、すべて違うかな。ラリーではときどきドリフトしていることもあるけれど、クルマは四輪駆動で、各ラウンドで可能な限り速く走ろうとしている。もちろん、ドリフトでも速く走りたいと思っているけれど、こっちはスムースである必要があって、ステアリングや大きな角度修正がないようにスムースに見える必要がある。

 それでも、どちらの競技もクルマを小さな箱にいれるような正確さが必要で、クルマをどこに置いているのかを把握する必要がある。コーナーのチャンスは1回だけど、常に正しい場所にヒットする必要があるところはラリーもドリフトも似ているね。

 ——ラリーの経験がドリフトにも役に立っていますか?

ロバンペラ選手:ラリーの経験はドリフトに適応するのに役に立っているよ。あらゆる種類のドライビングが、レースカーに乗って限界で走っているときに役立つと思う。それは逆も同じで、ドリフトで新しい限界を見つけたときはラリーカーでも役に立つと思う。

 ——でも、ドリフトは1分以内の競技ですよね。ラリーはもっと長いと思いますが、ドライビングの取り組み方や心構えに違いはありますか?

ロバンペラ選手:ラリーは木曜日から日曜日まで集中する必要があるからね。間違いが許される余地がないから難しい。でも、ドリフトも30秒で勝負が決まるし、そこでもミスは許されないから、違う意味で難しいかな。

 ——ドリフトマスターズ・ヨーロッパにも出場していますが、スピード重視のヨーロッパの競技に対して日本のFDJは大きな違いがありますか?

ロバンペラ選手:ヨーロッパは精密なドライビングをする選手が多いけど、日本はスタイル重視、アクション重視で、本当に素敵なスタイルでドライビングしているドライバーが多い。それにドライバーごとにドライビングのスタイルが違うところもいいと思う。FDJのドライバーは必ずしも正確という訳ではないけれど、彼らは懸命にプッシュしているから日本は素晴らしい。ドライビングのアプローチが違うから、それに近づいて背後でキープすることは本当に難しいよ。

 こうして4月7日の決勝に挑んだロバンペラ選手は、前述のとおり、トップ32で朱元路選手との一騎打ちを制覇。しかし、トップ16では草場佑介選手との追走で引き離されてしまい、惜しくもトーナメントで敗退することとなった。

 ——今日(4月7日)のトップ32とトップ16について振り返ってもらえますか?

ロバンペラ選手:トップ32はまぁまぁだった。すべてがうまくいったから満足しているよ。でも、トップ16ではチームメイトのクサバ(草場佑介)が速いことを知っていたからね。簡単ではないことはわかっていた。トップ16のリードランは本当によかったけれど、そのあとすぐ、彼と戦うには自分に十分なグリップがないことに気づいたし、それが最大の問題だった。ベストを尽くしたけれど、グリップがなくて追いつけなかった。クサバも本当にうまく運転していたよね。

 ——グリップが足りなかったのは路面温度の問題ですか? それともタイヤの特性ですか?

ロバンペラ選手:いろいろあると思う。クサバのGR86に対して自分のGRカローラはフロントの重量が重いから、GR86のほうがリヤタイヤに重量を乗せやすいと思う。それに僕が装着していたヨコハマと彼が装着していたブリヂストンでタイヤの違いもあったと思う。

 ——日本でドリフト競技に参戦したのは、これで3戦目ですよね。ロバンペラ選手に多くの日本のドライバーが衝撃を受け、あなたのドライビングに合わせようとしていますが、そういった変化を感じますか?

ロバンペラ選手:確かにクルマがより速くなっているよね。私たちがよりよくなるように努力してきたし、ほかのドライバーおよびチームも同じようにしていることは嬉しいね。

 ——今回は悔しいリザルトだったと思いますので、リベンジが必要ですよね?

ロバンペラ選手:もちろん、リベンジしたい。富士に来る前は高速コースで難しいけれど、自分たちのマシンが最速だと期待していたし、実際にそうだったと思う。それにマシンをもっと改善できるかどうか確認する必要もあるので、予定はまだ決まってないけれど、またチャレンジしたいね。

 このように今大会では残念なリザルトに終わったが、そのドライビングは迫力満点で、ファンにとっては記憶に残る1戦となったに違いない。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

愛車
スバル・フォレスター
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登山
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