「海外生産の日本車って大丈夫?」なんて心配いまは無用! それでも国内販売で苦戦する理由とは (2/2ページ)

融通が利きづらい! 海外生産のさらなるデメリットとは

 海外の工場で生産することに伴う不利も生じている。国内生産に比べると、受発注をシンプルにおさえる必要があり、バリエーションが限られることだ。輸入車では、パワーユニット、グレード、生産ラインで装着するメーカーオプション、ボディカラーなどの選択肢が国内生産に比べて少ない。

 そうなるとユーザーの希望に細かく応じるのも困難になる。また、バリエーションが少ないと、ベーシックなグレードは省かれ、上級グレードのみの設定になりやすい。そのために日本メーカーの輸入車は、選択肢が少ない上に価格は高めだ。先ごろ発売したトライトンの価格は、求めやすいGLSでも498万800円に達する。アコードもフル装備の1グレードのみで、価格は544万9400円だ。

 このほか、納期に影響を与えることもある。前述のとおり選択肢が少ないため、基本的には大半の車種が1〜3カ月で納車できるが、販売店では「生産台数の少ないボディカラーを選んだりすると、半年程度を要する場合がある」としている。

 トヨタの商用車、タウンエースもインドネシア製の輸入車だ。販売店によると、「生産タイミングとの関係でときどき納期が長引く。とくに商用車は、短期間の納車を求められることが多いから、納期が長いと販売しにくい」という。

 以上のように海外製の日本車があまり売れない背景には、さまざまな理由がある。しかし、その一方で、新型車のホンダWR-Vは、インド製ながらも商品力が高く価格は割安だ。これから売れ行きを伸ばして、海外製日本車の流れを変えるかも知れない。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
-

新着情報