【試乗】EVだってここまで面白いクルマが作れる! ホンダSuper-ONEは「速さ」よりも「走る楽しさ」を追求したクルマだった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■ホンダの電気自動車Super-ONEにワインディングで試乗

■電気自動車としての完成度は非常に高い

■速さを追い求めるのではなく走る楽しさを追求した味付け

見た目はブルドッグをオマージュも走りにジャジャ馬感なし!

 ホンダが投入した新型「Super-ONE」は、軽自動車規格のN-ONE e:をベースに開発されたスポーツEVだ。軽自動車由来のコンパクトなボディにオーバーフェンダーを組み合わせ、トレッドも拡大。軽規格を超えた普通車登録とすることで、デフォルトの最高出力47kW状態から70kWまで出力を引き上げるブーストモードを実装している。

ホンダSuper-ONEのフロントスタイリング

 搭載される駆動モーターや19.5kWhのバッテリーはN-ONEe :と共通で、最大トルクも162Nmと同値だ。ただしSuper-ONEは、そこへスポーツモデルとしての遊び心を与え、外観的にも走行性能面でも魅力を付加したといえる。

ホンダSuper-ONEのボンネット内

 まず走り始めて感じたのは、BEV(電気自動車)としての完成度の高さだ。デフォルトのノーマルモード47kW状態では静粛性が高く、アクセル操作に対する反応も穏やか。市街地を流している限りでは、軽EVとしての日産サクラや三菱eKクロスEVなどと同様な扱いやすさがある。

 しかし、ボディ剛性の高さや足まわりのしっかり感には明確な差がある。今回試乗したワインディングや荒れた舗装路でも、入力を受けたときの振動収束が際立っていい。高級車という表現は大げさかもしれないが、少なくとも従来の軽自動車ベースのEVとは異なる上質感をもっている。

ホンダSuper-ONEのワインディング走行シーン

 その背景には、単なるドレスアップでは終わらないメカニズム変更がある。フロントサスペンションは出力向上とトレッド拡大に合わせ、ロアアームをアルミ鋳造製へ変更。左右不等長ドライブシャフトの剛性も最適化され、トルクステアを軽減している。

ホンダSuper-ONEのロアアームとドライブシャフト

 実際、強めにアクセルを踏み込んでも、FF(前輪2輪駆動)の高出力車でありがちな加速時にハンドルを取られるトルクステアが非常に少ない。電動パワーステアリングも軽快で、キックバックをうまく抑え込んでいる。かつてのホンダ・シティターボII ブルドッグを知る世代からすると、ここはもっとも印象的な違いだろう。

ホンダSuper-ONEの走行シーン

 1980年代のシティターボIIブルドッグは、強烈なトルクステアとボディ剛性の低さに起因したジャジャ馬感が特徴的だった。そして、それをベースに開催されたワンメイクレース仕様ではスリックタイヤによるグリップ限界とシャシー剛性のアンバランスさでドライビングは難しかった。レースでは、スタート直後からマシンがトルクステアで左右に暴れ、接触やクラッシュも多発していた。

 実際に参加した僕自身も大クラッシュに巻き込まれ空中3回転を経験している。しかし、Super-ONEは見た目こそブルドッグをオマージュしているが、走りの質感はまったく異なっていた。ジャジャ馬感は皆無で現代的に洗練されたスポーツEVとして完成された走りなのだ。


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中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2026-2027日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
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