選手村で大活躍間違いなし! 東京2020オリパラ仕様のe-Paletteが登場【東京モーターショー2019】

車椅子4人まで乗ることができる東京2020の選手村専用EV

 トヨタ自動車は、自動運転とモビリティサービスを融合した(Autono-MaaS)専用電気自動車「e-Palette(イーパレット)」の東京2020オリンピック・パラリンピック仕様を発表した。このモデルは2019年10月25日(金)から一般公開される第46回東京モーターショーに出展する。

 e-Paletteは東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会用に10数台提供し、選手村内の巡回バスとして選手や大会関係者の移動をサポートする。

 開発には約2年を費やした。他国でこれまでに開催されたオリンピック・パラリンピックの会場を視察したところ、バスが時間通りに来ないことや車椅子が乗りにくい、車椅子を複数台乗せられないといった問題があったという。今回のモデルはそうした課題を解決するため前後対称の箱型デザインを採用し、タイヤを四隅に配置することで広い室内空間を確保。ロングホイールベースとフラットな床面により、最大で4人の車椅子ユーザーの乗車が可能となった。

 トヨタの車両制御プラットフォームに専用開発の自動運転システムを搭載。高精度3Dマップと運行管理によって時速19km/h以下での低速自動運転を実現した。航続距離はおよそ150km。

 ボディの5カ所に設置されたカメラによって周囲360度の障害物を常に検知し、状況に応じて最適な速度で運行。システム異常時には車両に同乗するオペレーターが安全に車両を停止できる緊急停止ブレーキを装備している。

 自動運転時には歩行者とのコミュニケーションを図り、アイコンタクトのように車両の状況を周りに知らせるランプをフロントとリヤに採用した。横断歩道前に横断しそうな人を発見した際は一時停止し、道を譲るときにはライトを上側だけ光らせ、笑っているような表情に変化する。

 オリンピック・パラリンピックが開催される夏の時期は台風なども多い。そうした気候の変化にも対応して安全に走行できるよう、床面に電池パックを配置し重心を低く設定するほか、フロントの上側のみガラスを使用したことで、万が一車両が横転した際にも割って脱出することができるようになっている。

 全高は2760mmと高めに設定。身長に関係なく使いやすい手すりやシートを設定している。乗員はオペレーターを含む20人を乗せることができ、車椅子4人が乗車した際は立ち乗り7人まで乗ることができる。

 足まわりにはエアサスペンションを採用し、乗車人数などによって高さを調整。スロープとバス停との間に段差が生まれないよう配慮する。東京オリンピックの選手村内に設置されるバス停には、必ずスロープがかかる位置に合わせた台を設けることになっている。

 さらに電車のような大開口のスライドドアと低床フロア、電動スロープ、車両をバス停から最小限の隙間で停車させる制御などを採用したことで、車椅子ユーザーを含めた複数人のスムースな乗り降りが可能となった。内装は車内の色使いも視覚バリアフリーに対応し、色の明度差をつけた床や内装トリム、シートなど「Mobility for All(すべての人に移動の自由を)」の体現を目指している。


新着情報