最強GT-Rに土をつけたモデルにWRC最強マシンも! レースで勝つために生まれた日産以外の国産車8選+1 (2/2ページ)

国産車で最強をほしいままにしていたGT-Rの上を行く存在も登場

4)三菱ギャランVR-4

 ギャランVR-4は、WRCがグループBからグループAで戦うことになった1987年にデビュー。ターゲットはもちろんWRCで、新開発の4G63ターボエンジン(当時は「サイクロン」と呼ばれていた)を搭載。ランエボⅠ~Ⅸまでに搭載された、三菱の名機4G63ターボを最初に積んだのがこのギャランVR-4だった。

 ビスカスカップリング式センターデフ付きのフルタイム4WDで、4WSやABSなど、当時としてはハイテク満載の一台だった。競技ユーザー向けのVR-4R(限定100台)や、さらに40kgの軽量化を図ったVR-4 RSなども用意された。

 後期型は240馬力にまでチューニングされ、トルクバンドが広く、4WDということもあり加速性能は抜群。直線も速かったが、ブレーキもプアで、アンダーステアも強かった……。WRCでは1989年の1000湖ラリーとRACラリーで優勝している。そして特筆できるのは、1991年の筑波9時間耐久で、ギャランVR-4が、R32GT-Rを下して優勝していること! N1耐久で29戦28勝しているGT-Rに、唯一の黒星をつけたのが、じつはギャランVR-4だった。

5)三菱ランサーエボリューションⅠ

 ギャランVR-4でWRCに参戦していた三菱ワークスが、WRCで勝つにはもっとコンパクトなボディが必要だと気付き、ランサーGSR1800に、ギャランVR-4のエンジンとドライブトレインをそっくり移植したホモロゲーションモデルが、初代ランエボ=ランサーエボリューションⅠ。当初ホモロゲをクリアするために、限定2500台で販売されたが、3日で完売となり、さらに2500台が追加された。

 モータースーツベース車のRSのパワーウエイトレシオは、4.68kg/馬力と、国産車最強最速を誇ったR32GT-Rの上を行く存在だった。しかし、フロントヘビーでタイヤのキャパシティが小さく、ブレーキ容量も不足だったので、サーキットを得意とするようなクルマではなかった。WRCでの最高位は2位だが、ここからランエボ伝説がスタートした。

6)三菱GTO

 GTO=「Gran Turismo Omologato」(伊)の略で、「ホモロゲートミートバージョン」という意味を持つ。その割にベースはセダンのディアマンテで、お世辞にもスポーツカーとしての素姓がいいとはいえない……。しかし、けっこうな意欲作で、エンジンはトルクフルなV6ターボの6G27型。

 アルミ製4ポット異径対向ピストンブレーキキャリパーやドイツ・ゲトラグ社製の5速MT(中期型から6速化)を搭載している。また、高張力鋼製のドライブシャフトといった装備は、国産車ではGTOが初めて採用している。

 さらに、1994年のマイナーチェンジでは、軽量モデルの「MR」を追加。ブレーキ冷却導風板をMRに標準化し、レース用のAPロッキード製6ポットブレーキのオプションに設定! リヤハイブリッドLSDもオプションに。4WDのハイパワーモデルで、動力性能は抜群だったし、空力面や重心高では、R32GT-Rよりも有利だった。N1耐久レースでは、クラス1で、GT-Rへの唯一の対抗馬として気を吐いていたが、ポールポジションは取れても未勝利で終わってしまった(最高位は2位)。

7)マツダ・ファミリア 4WD DOHCターボ GT-X

 1985年に登場したファミリア 4WD DOHCターボ GT-Xは、意外に衝撃的な一台だった。このファミリア 4WD DOHCターボ GT-Xは、なんといっても、国産初のフルタイム4WD。いまでは珍しくない、フルタイム4WDだが、この6代目ファミリアは、フルタイム4WD+DOHC+ターボという、当時の“全部乗せ”仕様のクルマ。1090kgの車体に、140馬力のターボエンジン+4WDという組み合わせで、サーキットでもゼロヨンでも、一時、国産最速といわれたほど!

 WRCには「マツダ 323 4WD」という車名でエントリーして、1987年、1989年のスウェディッシュ ラリーと、1989年のニュージーランド ラリーで優勝。車高を30ミリほど調整できる、ハイトコントロールサスペンションというオマケもついていた。

8)スバル・レガシィRS typeRA

 スバルのホモロゲーションモデルといえば、レガシィRS typeRA。STI最初の限定車で、吸気ポート段差修正(手作業)や、クランク、強化コンロッド、強化メタルなどを採用。ギヤ比が15:1から13:1にクイック化するバリアブルレシオのパワステやスポーツサスペンション、駆動系のバランス取りなどが施された。当初は月産50台。

「RA」とは 、スバルが初代レガシィで挑戦した10万km世界速度記録の「記録挑戦=RECORD ATTEMPT 」の意味が込められている。WRCでは、1993年のニュージーランド・ラリーで優勝。そのあと、WRCのステージはインプレッサに譲るわけだが、インプレッサWRXは、シリーズを通しWRCを制するためのホモロゲーションモデルそのもので、ライバルの三菱ランエボシリーズと長きにわたって激闘を繰り広げることになる。

・番外編 ホンダ

 二輪にはホモロゲーションモデルがたくさんあるホンダだが、四輪ではレースに勝つための特別な仕様というのはほとんどない。各種タイプRシリーズやS2000、S660など、かなり本格的なスポーツカーだが、特定のレースカテゴリーにターゲットを絞ったクルマとは言い難い。

 強いて言えば、2005年に出てきた「NSX-R GT」がそれにあたるが、生産台数がたったの5台。市販されたのが1台だけで、価格は破格の5000万円。SUPER GTにエントリーする為の割り切ったホモロゲーションモデルで、市販したとは言い難く、少なくとも量産車ではない。ちょんまげといわれた「リヤハッチガーニッシュ」が一番の特徴だった。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

愛車
日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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