売れなくても「ヤメちゃダメ」! まもなく消える可能性大&すでに消えた「本当は大切な」国産車5台 (1/2ページ)

車種構成の見直しによって廃止される車種の条件がある

 今の自動車メーカーは、電動化を含めた環境性能の向上、安全装備や自動運転技術の開発などに取り組む。その一方で商品の売れ行きは伸び悩み、国内と海外の両方で、生産規模の縮小を発表するメーカーもある。

 そこで実施されるのが車種構成の見直しだ。今まではカテゴリーと車種の数を増やしながら発展してきたが、今後は流れが変わる。開発と製造のコストを抑えるため、エンジン、プラットフォーム、車種の数を減らさねばならない。

 そうなると従来の車種をフルモデルチェンジせずに廃止して、位置付けの異なる別のクルマを投入することも考えられる。たとえば近年のマツダは、マツダ2(旧デミオ)やマツダ6(旧アテンザ)などを残すものの、プレマシーなどのミニバンは廃止した。その代わりSUVは充実させている。エンジンやプラットフォームはスカイアクティブシリーズに刷新され、従来とは違う商品構成を築いた。このような生き残りを賭けた商品戦略もあり、今後は廃止される車種も増えそうだ。

 廃止の条件はいくつか考えられる。まずは発売から10年以上を経過した車種だ。ここまで設計が古くなると商品力も下がり、従来型から乗り替えるユーザーも減ってしまう。存続させるには長くても9年でフルモデルチェンジしないと、従来型の乗り替え需要を新型につなげられない。

 従って10年以上を経過した車種は、フェードアウトする確率が高い。ただし生産台数の少ないオフロードSUV、商用車、一部のスポーツカーは、フルモデルチェンジの周期も長い。10年以上を経過した後でフルモデルチェンジする場合もある。

 廃止される2つ目の条件は、売れ行きの落ち込んだ国内専用車だ。海外で販売されず、なおかつ国内でも不振になると、商品として成立しない。これらの条件を考えると、以下の車種に生産を終える可能性がある。

1)トヨタ・プレミオ&アリオン

 ホンダ・グレイスが国内販売を終えた今、プレミオ&アリオンは、継続生産モデルのカローラアクシオと並ぶ貴重な5ナンバーセダンだ。それなのに2007年の登場後、フルモデルチェンジを行っていない。このまま終了すると思われる。

 ただしホイールベース(前輪と後輪の間隔)がプレミオ&アリオンと同じ2700mmに達する海外版カローラをベースにするなど、設計の大幅に異なる新型セダンを投入する可能性は残されている。

2)日産フーガ&シーマ

 フーガは2009年、そのロング版となるシーマは2012年の発売で、売れ行きが大きく下がった。車種の位置付けとしては大切だが、放置されている時間が長く、このまま終わりそうだ。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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