ハイブリッドなしでも「上半期販売首位」のライズ! 同門の伏兵に負けた「トップを狙う」カローラの秘策とは? (1/2ページ)

ライズは5ナンバーサイズSUVというパッケージが大ヒットに

 自販連(日本自動車販売協会連合会)統計によると、2020暦年締め上半期(2020年1月~6月)の通称名別(車名別)登録車ランキングトップは、5万8492台を販売したトヨタ・ライズとなった。そして2位はトヨタ・カローラシリーズ(セダン、ツーリング、スポーツ)で5万7235台となっている。トップのライズとカローラシリーズの台数差は、1257台となり、月平均差にすると209台という僅差となっている。

 ライズは月販目標台数4100台に対し、上半期の月平均販売台数は2倍強だが、カローラシリーズは、シリーズ全体での月販目標台数9400台をわずかに上まわる程度となっている。現行セダンとカローラが正式発売されてからしばらくして、「カローラは2020年に登録車トップモデルの座を狙っている」との話を聞いたことがある。事実、2019事業年度締め(2019年4月から2020年3月)年間販売台数では登録車トップとなっている。

 ここからは、カローラが登録車トップの座を狙っているということを前提に話を進める。カローラは2019事業年度締め登録車年間販売台数トップ獲得の勢いのまま、暦年締め上半期販売台数でトップを狙おうとしたものの、ライズにトップの座を奪われた格好になっているといえよう。3位のフィットとは7000台以上差をつけているので、“たられば”話はしたくないが、ライズがいなければカローラはトップになれたといえる。

 思わぬ伏兵といえるライズは、「なぜここまで売れているの?」と、多くの業界関係者が首をかしげるほど、いまもなお好調に売れ続けている。

 ダイハツからのOEMなので、トヨタの“十八番”であるハイブリッドもないのによく売れている背景にあるのは、やはり“5ナンバーサイズ”というものがあるだろう。とくにSUVでは5ナンバーサイズのモデルはライズのほかには、兄弟車のダイハツ・ロッキー、スズキ・クロスビー、スズキ・イグニス、スズキ・ジムニーシエラぐらいしか日本車では存在しない。

 今まで「SUVはいいなあ」と思っていても、3ナンバー車ばかりで手を出せなかった層が一気にライズに集中したといえよう。トヨタだけでみても、パッソ、ヤリス、アクアといったコンパクトハッチバックは生活臭が強く、そして軽自動車には乗りたくないというダウンサイザー(車格や排気量をダウンサイズして新車を乗り換える層)のハートを見事に射止めたことになる。しかし……、その勢いは想像以上となり、カローラの“登録車トップ”も夢が阻まれることになった。

 ただし、カローラは5月からのトヨタディーラー全店での併売化が今後販売ランキングに好影響を与えるので、2020事業年度締め上半期や、2020暦年締め年間販売台数では、2020暦年締め上半期よりは販売環境は良いとはいえる。だが、依然としてライズの勢いが弱まらないので、かなりタイトなトップ争いが展開されることになるだろう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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