「この先登場するクルマは?」「自社のクルマをどう思う?」 三菱自動車の加藤CEOに直撃! (1/2ページ)

「パジェロやランエボで育ててきた”走り”も大切」

 三菱自動車では、エクリプスクロスに大幅なマイナーチェンジを実施して、充電可能なプラグインハイブリッドのPHEVを加えた。「2020‐2022年度中期経営計画」では、電動化のさらなる推進も明らかにされた。そこで2019年6月から三菱自動車の取締役・代表執行役CEOをつとめている加藤隆雄氏に、今後の商品戦略などの方針をうかがった。

渡辺:先ごろエクリプスクロスPHEVが発表され、2020‐2022年度中期経営計画では、今後登場する次期アウトランダーなどの新型車も公表されました。今後の三菱は、どのような商品を投入する計画なのでしょうか。

加藤隆雄氏(以下、敬称略):商品戦略を考える上で大切なことは、三菱らしいクルマ作りです。長年にわたり、我々の培ってきたことをベースにすべきでしょう。

渡辺:具体的にはどのような内容でしょうか。

加藤:まずは電気自動車のi-MiEVから、プラグインハイブリッドのPHEVに繋がる環境技術です。三菱の重要な財産であり、世の中の環境意識も向上しているので、今後も強化していきます。

渡辺:そのほかはどうでしょうか。

加藤:もうひとつの三菱らしさは、パジェロやランサーエボリューションで育ててきた走りです。そこに環境技術を組み合わせて、今後の三菱のクルマ作りを進めます。その一方で、今は若い人達のクルマ離れも指摘されています。クルマ作りを改めて考え直すことも大切だと思っています。

渡辺:直近では新型コロナウイルスの影響もあります。

加藤:先般の中期経営計画でも述べたとおり、まずは危機的な状況を脱する必要があります。そこで構造改革を実施します。三菱はアセアン(東南アジア諸国連合)地域で強いブランドですから、新型車を投入して収益を高める体制にします。そして中期経営計画では発表していませんが、三菱らしいクルマ作りをしっかりと考えたい。社内的にも議論の場を設けて、まとめていきます。

渡辺:三菱は1960年代に電気自動車の開発を開始して、今では電気自動車とプラグインハイブリッドの両方を用意しています。その一方でパリ・ダカールラリーへの参戦など、モータースポーツを通じて走行性能の優れた運転の楽しいクルマも開発してきました。この2つの要素を併せ持つのが、アウトランダーやエクリプスクロスというPHEVを搭載するSUVでしょう。その上でクルマ作りの一層の広がりも考えられると思います。

加藤:我々のアイディアでは、環境性能の優れた運転の楽しいSUV、という方向になりますが、それだけでは足りないと思います。このときに大切なのが、若い人達の意見を聞くことです。今後どのような展開が考えられるのか、いろいろな人達と議論を深めていきます。少なくとも運転して楽しいクルマであることは不可欠で、PHEVによる優れた環境性能と走る楽しさの両立がベースですが、その上で付加価値も大切です。

渡辺:環境性能と走る楽しさを兼ね備えたクルマとして、アウトランダーやエクリプスクロスのPHEVが商品化されていますが、ほかにはどのようなタイプが想定されますか。過去にはスポーツセダンのランサーエボリューション、スポーツクーペのGTOなどもありました。

加藤:エボリューションは、三菱らしいクルマ作りのひとつでしょう。復活を待っているお客様も少なくないと思いますが、全世界で売るためには、環境との両立も図らねばなりません。どれだけのお客様に喜んで頂けるかも、考える必要があります。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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