「この先登場するクルマは?」「自社のクルマをどう思う?」 三菱自動車の加藤CEOに直撃! (2/2ページ)

「多少のボディのヘコみは自分で直します」

渡辺:ご自身では、三菱車の運転をどのように味わっておられるでしょうか。

加藤:テストコースで増岡さん(ラリードライバーの増岡浩氏)の助手席に乗りました。やはり凄い走りをしますね。社内にもラリーが好きな人は多い。そしてPHEVは環境車といわれますが、リチウムイオン電池を床下に搭載するから重心も低いです。舗装路から悪路まで、走りが全般的に優れています。またPHEVは前後輪にそれぞれモーターを搭載しており、走行状態に応じて後輪の駆動力を高めることもできます。ツインモーターで制御すれば、4輪をコントロールしやすく、発進時まで含めて安定性も高められます。走りの質も向上します。

渡辺:今は安全装備の衝突被害軽減ブレーキに対する関心が高いですが、低重心で走行安定性が優れていれば、事故を避ける性能を根本的に向上できます。その意味でPHEVは、環境性能だけでなく安全まで含めて、2つの大きなニーズに応える技術なのでしょう。

加藤:そのようなPHEVの良さは、前面に出して良いと思います。

渡辺:そうなると、もっとスポーティな走りを突き詰めたPHEVにも期待できそうですね。そこに繋がる車種として、サーキット走行も楽しめるエクリプスクロスPHEVが登場したと考えれば、このクルマとPHEVの技術に対する見方も変わるように思います。また最近は、さまざまな人達がクルマを使いやすいように、三菱も定額制のサブスクリプションサービスを開始しました。

加藤:ウルトラマイカープランを実施しています。税金、自賠責保険料、さらに任意保険料まで含めて、定額制になっています。「今までPHEVは高いよね」と思っていたお客様も、意外に使いやすいことに気付かれると思います。その意味でウルトラマイカープランは、三菱車と相性の良いサービスでしょう。ほかのメーカーのクルマを使われていたお客様が、ウルトラマイカープランで三菱車に乗り替えるケースも見られます。若いお客様にも好評です。

渡辺:若い頃にクルマに親しむと、大人とは違う楽しみ方を経験できます。ご自身はいかがでしたか。

加藤:私も若い頃には、愛車にスキーを積んで出かけました。生産部門が長かったので、少しヘコませても自分で直します。昔の寮には、エンジンオイルを自分で交換する施設などもありました。キャブレターの時代には、調整も自分でやりました。クルマは生活に密着していましたね。

渡辺:若い頃にはどのような車種に乗っていたのですか。

加藤:ミラージュやギャランです。ギャランはスポーティなVR-4ではなく、ラグジュアリーな最上級を選んで、デートに使っていました。今はアウトランダーPHEVとeKクロスに乗っています。

渡辺:自社の商品を使われて、感想はいかがですか。

加藤:PHEVは、実際に使ってみると、その良さを実感できます。私の妻も気に入っています。自宅に戻った時に充電すれば、それだけで50kmは走れるからです。気軽に充電できて、走りは静かで滑らか。PHEVは、ユーザーにも、環境にも、とても優しい技術だと思います。今後の三菱に期待してください。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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