この現代にも生き残っている! 先進装備など無縁の素材ありきの「素うどん」的クルマ3選 (2/2ページ)

国産にもあるハードボイルドな世界

2)スズキ ジムニー シエラ JL 5速MT

 世界を代表する「はたらくクルマ」のひとつであるスズキ ジムニーの、小型乗用車版である。搭載エンジンは1.5リッター直4自然吸気で、当然ながらラダーフレーム、そしてこれまた当然ながら駆動方式は4WD(パートタイム4WD)のみだ。

 シンプルきわまりない四角四面のフォルムや、タフなイメージのインテリアは、あくまでも働くクルマとしての合理性追求から生まれたもの。しかし「そこが逆におしゃれ!」ということで一般ユーザーにも大人気となってしまい、注文が殺到。現在も、納車まで1年半ぐらいは待たねばならないというのが玉に瑕となるオフローダーである。

 で、最上級グレードのJCには「スズキ セーフティ サポート」という先進安全装備のパッケージや、しゃれたアルミホイールなどが標準装備となるのだが、もっともベーシックなJLは、そういったモノはとくに付いていないハードボイルドな世界。

 4速ATを選ぶこともでき、売れ筋はそちらとのことだが、ここはひとつシンプルな5速MTを選び、邪念なき色即是空の世界観にひたりたいものだ。新車の納期が待ちきれない人には中古車もある(即納プレミアが付いてちょっと高いけど)。

3)ルノー カングー ZEN 6速MT

 郵便局に導入するのも似合いそうな形状の(?)フランス製5人乗り車。3列シートのミニバンに見えなくもないが、シートは2列で、その分だけラゲッジスペースや床下収納スペースは広い。

 搭載エンジンは最高出力115馬力の1.2リッター直噴ターボ。6速ATだと若干のかったるさも感じるが、6速MTのほうはまずまずの力感で、癒やし系な見た目からは想像できないほど「全般的によく走るクルマ」でもある。

 で、さすがに近年のクルマだけあってESC(横滑り防止装置)やヒルスタートアシストは標準装備だが、それ以外はこれといった余計な(?)システムやインフォテイメントはなし。新世代のライバルであるプジョー リフターが先進装備の全部盛りであるのとは対極の、まさにZEN(禅)の世界だ。窓を開け放ってゆったり走れば、お寺で座禅を組むまでもなくα波がビンビンに出るだろう。

 ちなみに本国ではすでに受注開始となっている新型のカングーは、さすがに先進安全装備の類が全部盛りで、フロントマスクもマッチョな感じになっている。それはそれでもちろん素敵だが、素うどん的な「禅の境地」を目指したいのであれば、狙うべきは現行世代だ(もしくは初代の中古車か)。


伊達軍曹 DATE GUNSO

自動車ライター

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