発売前から世間は大注目! なのに「売れなかった」残念な国産車3台 (2/2ページ)

コンセプトは良いが、実用性がなく販売面では苦戦を強いられた

2)軽自動車:初代ダイハツコペン(2002年)

 初代コペンの注目度は高かった。軽自動車のクーペで、しかも電動開閉式のハードトップを装着する。当時のソアラ(後のレクサスSC)のような装備であった。

 しかもヘッドライトとテールランプが両方ともに丸型で、ボディの前後が同じデザインのように見える。エンジンは660ccターボを搭載して、動力性能にも余裕があった。

 ところが売れ行きは伸び悩み、2003年の届け出台数は、1カ月当たり700〜800台だ。2003年の時点で軽自動車の売れ筋は、既にムーヴ、ワゴンR、ライフといったハイトワゴンになっていた。小型/普通車市場ではクーペの売れ行きは下降しており、軽自動車クーペのコペンも苦戦を強いられた。

3)スポーツクーペ:ホンダCR-Z(2010年)

 もともとホンダは、運転の楽しさと優れた環境性能を両立させるクルマを開発してきた。希薄燃焼方式のCVCCを使った初代シビック、コンパクトスポーツカーの初代CR-Xも、走りと燃費を特徴としていた。この背景には、ボディが軽ければ走行性能や運転感覚が向上して燃料消費量も抑えられるという考え方があった。

 その意味ではCR-Zも、ホンダ車の特徴を受け継ぐクルマであった。全長が4080mmのコンパクトなクーペだが、直列4気筒1.5リッターをベースにしたハイブリッドのIMAを搭載する。しかもCVT(無段変速AT)のほかに、6速MTも選択できた。

 しかし、売れ行きは低迷した。発売の翌年となる2011年には東日本大震災が発生したので、2012年の登録台数を見ると、1か月当たり500〜600台に留まる。2010年に発売された時の販売目標は1か月当たり1000台だから、発売後早々に目標を下まわった。

 2012年の時点で、国内販売の上位車種は、プリウス、アクア、N-BOX、ミライース、フィットといった車種になっている。クーペの売れ行きは下がり、少数のユーザーは高性能なスポーツカーを求めるようになっていた。クーペにハイブリッドを搭載するCR-Zは、すでにクーペのユーザーニーズから離れていた。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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