【試乗】見た目に差はないが走りに違いアリ! 新型シビックはCVTかMTか悩ましいその中身 (1/3ページ)

この記事をまとめると

■新型シビックEXのCVTと6速MTに公道試乗した

■CVTモデルはCVT特性が抑えられ静粛性にも優れるが、初期トルクに不足感を覚える

■6速MTの操作性はいいが、エンジンブレーキが弱くMT車としてはいささか魅力に欠ける

ホンダ車デザインの流れを組むが他セダンとの差別化が曖昧

 11代目となる新型シビックに試乗する機会を得た。ただ、新型シビックにはホンダ栃木研究所のテストコースでプロトタイプにはすでに試乗していた。今回は一般道で量産モデルを試乗する最初の機会となる。

 試乗したモデルはEX、LXとあるふたつのシビックのグレードの中で、上級グレードであるEXのCVTと6速MTモデルの2台だ。この両車は外観の意匠やインテリアのデザインも含め見分けることができない設定で、エンブレム等も含め差別化が図られていない。

 まずはCVTモデルから試乗する。

 外観的には最近のホンダ車のデザインの流れを汲んでいて、先代シビックからの発展系であることがわかる。一方、現行のインサイトやアコードといったホンダのセダンモデルと非常に似通ったデザインとなっており、素人目にはこれらのクルマを区別するのは難しいともいえる。全長全幅などの差も非常に微小で、C〜Dセグメントの中でのわずかな差でしかないために、よりキャラクター付けが難しくなっているのではと考えられる。

 新型シビックはホイールベースが35mm拡大され 2735mmとなった。全長は30mm長くなっている。一方全幅は1800mmでインサイトよりも20mm小さい。

 また、リヤトレッドが10mm拡大され、デザイン的にもしっかりと地面を踏ん張る安定感のあるフォルムとなっている。そのホイール位置をデザイン的に際立たせるために、リヤフェンダーの内側の造形などにも特殊な加工技術を用いて配慮し、フェンダーとホイールの面一化が図られているのも特徴的だ。

 この結果、リヤフェンダーまわりはボリューミーで、ボンネットサイドラインからサイドウインドウの下部ラインが直線的に配置されており、初代シビックが持っていたデザインアイデンティティの流れを感じとることができる部分もある。

 室内に乗り込んでみると、やはり水平基調のインストゥルメントパネルが特徴的だ。とくに ハミカムメッシュデザインのエアコン吹き出し口のデザインが目を引く。

 また、Aピラーが非常に細く前方の視認性を大きく向上させていて、「爽快感」のある見晴らし性の良い前方視界が確保されている。サイドウインドウスカートラインも直線的で後席に伸び、キャビン全体が明るく開放感に溢れて全席視界が良い。

 メーターは液晶パネルとなり、ステアリング右手スポークのトグルスイッチを操作することでさまざまな表示アイテムを選択することができる。

 また、ダッシュボード中央部分には7インチの大型タッチパネルモニターが備わる。このモニターに表示される文字はやや小さく、高年代で視力の落ちた筆者にとっては若干見にくい部分が気になるところではあった。

 センターコンソールに目を移すと、シフトレバーがドライバー右手方向に偏って設置され、その横に縦列のドリンクホルダーが配置されている。ドリンクホルダーとシフトレバーを並列にレイアウトすることは非常に難しい作業だったそうだが、シフトレバーをドライバー方向に偏ってレイアウトすることで可能としたという。

 シートは、運転席シート助手席シートともに電動のアジャスト機能が奢られ、装備的にも非常に充実した高級セグメントセダンのような運転席まわりである。

 ルーフライナーやAピラーカバーなども黒く統一されており、ダッシュボードもフロントウィンドウへの映り込みを低減するようなブラックアウトデザインで、黒く統一され引き締まったインテリアとなっていた。

 一方、ホイールベースが拡幅されたことで後席の居住性は向上し、とくに後席の足もとまわりのゆとりが増え、ヘッドクリアランスも従来モデルと同等となっている。ルーフラインがややクーペ形状でボディ後方へとなだらかな曲線を形成しているのに対し、後席ヘッドクリアランスが犠牲となっていないのは、リヤゲートヒンジを特殊な構造として両端にレイアウトすることで可能となった。そうした細かな部分にも配慮した車体設計を行っていると言える。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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