ノートのSUV登場で混迷必至! ライバルひしめくコンパクトSUV4台の「特徴」を比較してみた (2/2ページ)

他メーカーのライバルもなかなかに強力布陣

 いきなりコンパクトクロスオーバーの超人気車種となったトヨタのヤリスクロスは、ヤリスの弱点(後席居住性など)を見事に解消した力作だ。ヤリスとパワーユニットやCVT、プラットフォームなどを共用するものの、リヤオーバーハングを延長し、アウトドアライフなどで不可欠な大きな荷物を積載可能とする大容量かつ使い勝手のいい荷室を実現。

 さらに最低地上高170mmとともに、2種類の4WDシステムを用意(ガソリン車用とHV用の電気式4WD=E-Four)。どちらもけっこう本格的な4WD機能を備えているのである(ガソリン車のほうが走破性では上だが)。

 また、ACCの渋滞追従を可能にする電子パーキングブレーキ、一時停止時にブレーキを踏まずに済むオートブレーキホールド機能が付く点にも注目だ。そして、価格的に買いやすいガソリン車とトヨタ自慢のHVが選べるのも大きな魅力となる(だから売れている)。走破性にこだわるなら、あえてガソリン車の4WDを選べば、スノーモードのほか、本格的なマルチテレインセレクトのMUD&SAND、ROCK&DIRTモードが加わり、頼もしい走破性を示してくれる。アウトドアや災害時に大活躍してくれるAC100V/1500WコンセントがHVモデルのみのOPであるところは、アウトドア派としては悩ましいところなのだが……。

 コンパクトクロスオーバーモデルのなかで、パッケージに優れた1台を挙げるとしたら、ホンダのフィット クロスターである。

 そもそもベース車のフィットのセンタータンクレイアウトを生かした室内空間、シートアレンジ性は群を抜き、後席の広さや荷物の積みやすさなど、コンパクトハッチバックとしてずば抜けているからだ。そんなフィットにクロスオーバーテイストあるルーフレールやホイールアーチプロテクターなどを付加した独自のエクステリアデザインを与えるとともに、たとえばフリードのクロスターとは違い、しっかりと最低地上高を標準車の135mmから150mmに高め、大径タイヤまで奢っているのがフィット クロスターなというわけだ。さすがに極悪路には不向きだが、アウトドアライフで遭遇するジャリ道や雪道程度ならしっかりと対応してくれるはずである。

 最後に紹介するスバルXVは、悪路走破性に関してはピカイチのオールラウンダーな存在だ。インプレッサスポーツをベースにしながら、ボディ前後のデザイン、SUVのお約束といえるクラッティングパネル、ルーフレール、17/18インチを用意するアルミホイール、シートデザインなどをクロスオーバーSUVとして専用化し、最低地上高はインプレッサスポーツから何と40mmも高めた200mm! に設定されている。

 駆動方式は全車、スバル自慢の電子制御シンメトリカルAWD。さらに世界に通用する本格SUVであるフォレスターで採用されたエンジン、トランスミッション、AWD、VDCを統合制御して、4輪の駆動力やブレーキなどを適切にコントロールする「Xモード」や、下り坂の悪路を一定速度で安全に下れるヒルディセンドコントロールまで採用しているのだから、これはもう、全高1550mmゆえに立体駐車場の入庫も容易な、街乗りSUVの皮をかぶった本格SUVなのである。

 実際、サマータイヤのままで片輪泥濘路、片輪積雪路という極悪路の登坂路を上り下りした経験があるのだが、文句なしの走破力をイージーに見せつけてくれたのには驚かされた。ここでの主役となるオーテックのノートクロスオーバーを含めたライバルとは対極にある、見た目からはちょっと想像しにくい悪路上等! なオールラウンダーと言っていい。

 よって、コンパクトクロスオーバーSUVに求めるものがプレミアム感ならオーテックのノートクロスオーバー、カジュアルさや室内空間や荷物の積みやすさを優先するならフィットクロスター、そして悪路の走破性まで要求するならヤリスクロスの4WDモデル、さらに高い走破性を求めるなら、クロスオーバーSUVにして立体駐車場の入庫が容易という類まれなるスペック、実用性さえ備えるスバルXVということになるだろう。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

新着情報