なぜ2倍も違う? MT車よりAT車のほうが「事故率」が高いワケ (2/2ページ)

いまMT車を選ぶ人は運転が上手い!?

 AT車はたとえば渋滞時などペダル操作がラクで、ACCを作動させていれば、ほぼ自動で停止、発進を繰り返してくれる便利さもあるが、その裏側に、運転がラクであるがゆえに運転以外のことを考えてしまう、あるいは違反だが、スマホなどを注視してしまうなどの運転とは関係ないところに意識が集中しやすいとも言えるのだ。

 とはいえ、AT車とMT車の事故率の違いは、それだけではないと思っている。つまり、そもそもMT車をこの時代にわざわざ選ぶようなドライバーは、運転好きであるとともに、運転に集中したい運転上手な人たちであるという理屈だ。暴走による自損事故はともかく、運転に対する意識の違いが、事故率の低さにつながっているようにも思える。

 ちなみに、鳥取環境大学環境情報学部情報システム学科の研究によると、事故の形態で見ると、右折、左折、出会い頭、追突、正面衝突に分けた場合、正面衝突だけはAT車とMT車の事故率は同等。しかしそれ以外の事故では、MT車に対してAT車が約2倍の事故率であることがわかっている。

 事故率が低いからMT車に乗りましょう……などと言うつもりはまったくないが、AT車は運転手の意識の持ち方によって運転に対する注意が散漫になりがちで、また、ブレーキから足を離した時にクリープ現象で前に出てしまうことを念頭に、常に運転に集中するとともに、ペダルの踏み間違えにとくに注意して運転してほしい。免許返納をすべき高齢者ならずとも、「最近、運転に集中できない。ヒヤッとすることが多い」というなら、AT車、MT車にかかわらず、即刻、運転をやめてほしい。事故によって自身はもちろん、他人の命、財産を奪うようなことになれば、取り返しがつかない。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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