ドラえもんが生まれてもまだ有料! ついに2115年まで先延ばしされた日本の「高速道路の無料化」という「当たり前」のこと (2/2ページ)

政府のいいなりになっているままでは改善は見込めない

 そして、今回の償還期間延長である。あらためて整理すると次のようになる。

2005年時点での無料化目処:2050年
2014年時点での無料化目処:2065年
2023年時点での無料化目処:2115年

 9年ごとに大幅な延長を宣言しているというわけで、このペースでいくと2032年には23世紀まで償還期間を伸ばすといった政府方針が示されてもおかしくない。

 そもそも日本国憲法では第二十二条により「移動の自由」が保障されている。少なくとも国家が整備する道路が有料という状況は憲法違反という指摘もあるところだ。もっとも高速道路などの通行料徴取については「道路整備特別措置法」という法に基づいているので、憲法違反状態を是正するためには同法の改正もしくは廃止する必要があるだろう。

 日本は法治国家であり、立法機関である国会において法律の制定や廃止は議論されている。高速道路の無料化についても過去に民主党が公約に掲げ、それもあって政権交代につながったこともあった。今回の償還期間延長を言い出したのは国土交通省であり、償還に関する諸々は政令で決めることができるともいえるが、省庁には最終決定する権利はないというのが原理原則だ。

 現在言われている2115年という償還期間についても国会の議論によって変えることは可能である。さらに法改正をすれば、いつでも無料化を実現することもできるのだ。もちろん、維持管理費をどうやって工面するかという課題はクリアしなければならないが……。

 高速道路無料化というワンイシューで政権を目指す政党が出てくることは考えづらく、それによって政権交代を実現することは難しいかもしれない。しかし、そうした政党が出てきたときに多くの自動車ユーザーがどれだけ票を投じることができるかが、高速道路無料化につながる。政府の言い分をただ受け入れるのではなく、参政権という権利の施行によって未来を変えることは可能なはずだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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