ランクルの派生車ではなく「プラド」としての立ち位置を確立
そんなプラドの評価がグッと高まったのは、1996年5月にフルモデルチェンジした2代目90系プラドだ。トップグレードに3.4リッターV6ガソリンエンジンを搭載するなどラインアップを充実させた。筆者として印象に残るのはTRC(トラクションコントロール)やVSC(ビークルスタビリティコントロール)といった電子制御を積極的に採用したこと。これによりヘビーデューティーの70系とは明確にキャラクターをわけ、クルマが信頼性の高い走りを担保するといった「プラドらしさ」をユーザーが認識するようになっていった。
日本では2002年10月に発売開始となった3代目120系プラドは、スタイリングの面でも乗用テイストを強めたのが進化ポイント。後期型ではガソリンエンジンのトップグレードには4リッターV6エンジンを搭載するなどクロカンでありつつ、ステーションワゴン的な乗り味も追及していった。走破性の面では十分にランドクルーザーとしての期待を満たしてくれる性能ではあったが、欧州的なクロスオーバーSUVとしての評価軸でも高ポイントを得られるモデルへと進化したことで「プラド」というブランドを確立した。
そして2009年9月、4代目であり最後のプラドとなる150系が誕生する。4リッターV6ガソリンエンジンといったパワートレインやシャシー設計などは120系から踏襲しつつ、スタイリングの押し出し感を強めることで、現在のプラド人気を作り上げた。モデルライフは長かったが、V6ガソリンエンジンが消滅するのにかわり、2.8リッター直4ディーゼルエンジンと6速ATを組み合わせたパワートレインを追加設定したり、先進安全システム「トヨタセーフティセンス」を搭載したりするなど、ユーザーニーズに応える進化を遂げることでプラドのバリューを不変のものにしていったのも150系では印象深い。
と、まあ駆け足でランドクルーザープラド4世代の歴史を振り返ってみた。あらためて思うのは初代モデルのライバルだったパジェロやビッグホーンといったモデルが消えていくなかで孤軍奮闘しつつ、しかし確実に進化してきたことで、「プラド」という独自のブランドを確立してきたことだ。はたして、そのネームバリューを捨て、ランドクルーザー250とした判断が正しいのかどうか……。それは市場が決めることだろう。