どちらも完成度の高さが今でも光る
ここまでのデータだけで見ると、2勝1敗1引き分けでNSXに軍配が上がる。しかし、どの記録も同一条件下で計測されたものではないため、一概に「NSXが速かった」とはいい切れない。とくにウエット路面などになると、GT-Rが圧倒的に有利になるからだ。
セダンベースの4WDであるGT-Rは、攻めれば攻めるほどアンダーステアが苦しくなるものの、そのぶんコントロールの幅が広く安定感があり、ある意味で「ごまかし」が利く。
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対するNSXは、世界一のハンドリングといわれる素直な操縦性を誇っていたが、限界付近はかなり手ごわく、ドライバーに曖昧さを許してはくれない。
プロドライバーレベルなら、GT-RでもNSXでも互角の走りができるだろうが、アマチュアが乗る場合、GT-Rのほうがプロとのタイム差が出にくく、NSXでは苦戦を強いられるはずだ。
また、チューニングの伸びしろは圧倒的にGT-Rが上である。ターボエンジンということもあり、ライトチューンでも大化けするし、1000馬力級のハイチューンすら可能という意味では、NSXでは到底かなわない。
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このように、「速さ」ひとつをとってもさまざまな視点があるため、勝敗や優劣をつけるのはじつに難しい。
一番特筆すべきは、どちらもデビューから四半世紀以上が経っているというのに、その魅力はまったく衰えず、乗ればやっぱり「いいな~」と思わせてくれるし、今でも十分に速いということだ。
どんなクルマも、10年も経てばメッキが剥がれ、本来の素性が露わになる。いわば、化粧が落ちて「すっぴん」になってしまうものだ。それゆえ、根本的なディメンションやパッケージングではなく、うわべのセッティングだけで速くしたようなクルマは、経年劣化すると如実に遅くなり、つまらないクルマになってしまう。
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しかしGT-RとNSXは、油脂類や冷却水をはじめ、タイヤやダンパー、ブッシュ類といった消耗品を定期的に交換していれば(当然、故障カ所は直す前提で)、30数年経った今でも気もちのいい走りができる。クルマの素性は、年数が経っても変わらない。
経年劣化しても基本的な速さやドライビングプレジャーが味わえるのは、それだけもとの設計が優れていたということだ。これは本当に素晴らしいことであり、国産車の誇りといっていい。
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やはりGT-RとNSXは甲乙つけがたい特別な存在であり、永遠のライバルなのだ。
愛情をもったオーナーが所有し続け、10年後も20年後も「GT-Rが速い」「いやNSXが速い」といい続けられるのが一番の理想であり、それが出来なくなったとき、はじめてこの2台の決着がつくのではないだろうか。