「1番いいヤツもってきて」はちょっと待て! お金があっても「最上級グレード」がベストとは限らないクルマ4選 (2/2ページ)

もっとも扱いやすいのは最上級グレードではないことも

3)トヨタRAV4

 2019-2020年日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞のトヨタRAV4に目を向けると(PHVを除く)、ガソリン、ハイブリッド、2WD、4WDが選べるなかで、「いちばんいいやつを持ってこい」となると、HYBRID Gグレードになり、価格は402万9000円だ。

 たしかに2モーターハイブリッドならではのスムースで静かな走行性能、アウトドアや災害時に活躍してくれるAC100V/1500Wコンセントの用意といったメリットはあるものの、じつは、現行型RAV4がオールラウンド性能、悪路走破性を高めた、よりオフロード志向へと舵を切った新型と考えれば、もっとも魅力的なグレードとはいいにくい面がある。

 ズバリ、RAV4にもっとも相応しいグレードは、ガソリンエンジン、世界初のダイナミックトルクベクタリングコントロールを搭載したアドベンチャーグレードと考える。オンロード、オフロードともに操縦性、走破性はシリーズ最上であり、エンジンを高回転まで回したときの気持ち良さという、トヨタの実用エンジンとしては例外的な魅力さえ併せ持つ。

 個人的に決定的と思えるのは、RAV4にもっとも似合う、2トーンカラーがアドベンチャーグレードでしか選べないこと。RAV4はモノトーンだと、いきなり地味になるデザイン、スタイリングなのである。よって、走破性、オールラウンド性能を飛躍的に高めたRAV4をオフロードやアウトドアなどで楽しみ尽くすのであれば、選ぶべきは、最高額車のHYBRID Gより71万9000円も!! 安いアドベンチャーグレードとなる。その差額で何ができるか? と想いをめぐらすのも楽しいではないか。

 もっとも、RAV4で「いちばんいいやつを持ってこい」と言って、現時点で受注を中止しているPHVが手に入る日がくれば、反対しない、どころか、走破性、家庭への給電機能を含め、災害大国、地震大国の日本において、三菱アウトランダーPHEVと並び、最善の選択となることは確かだ。

4)トヨタ・スープラ

 最後に「いちばんいいやつを持ってこい」に熟慮が必要なクルマとして、ピュアスポーツカーのトヨタ・スープラを挙げたい。グレード構成はいたってシンプルで、2リッター直4ターボのエントリーグレードがSZで499万5000円(197馬力)。同じく4気筒となる中間グレードのSZ-Rが601万3000円(258馬力)、そして最上級グレードが、スープラの伝統でもある、今や希少な直6ユニットを積むRZの731万3000円(387馬力)となる。

 スポーツカーは6気筒じゃなきゃ……とこだわるなら別だが、意外にもスポーツカーをスポーツカーとして乗るなら、中間グレードのSZ-Rが、絶対動力性能を別にすれば、使い切りやすいパワー、ノーズの軽さが功を奏するハンドリングの軽快感と合わせ、山道を楽しむパフォーマンスのバランスとして優れていたりする。

 700万円オーバーのスポーツカーとなれば、輸入車のポルシェ・718ケイマン、718ボクスター、スープラの兄弟車であるオープンスポーツのBMW Z4の直4モデルにも十分、手が届くわけで……。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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