累計2000万台超えはもちろん記録! ついにその名が途切れた「VWビートル」が世界中で愛されまくったワケ (2/2ページ)

1970年代になって「ビートル」の車名が登場した

 さて、このカタチを見ると、クルマ好きでなくとも「ビートルだ!」とわかるが、その名前は最初からつけられていたものではない。そもそもの車名は「Volkswagen 1200」のような排気量を示す数字がつけられていた。マニアやファンは、このビートルを「タイプ1」を呼んだりもするが、それも正式な車名かというと微妙だ。

 あくまで愛称だった「ビートル」という名称が車名として使われるようになったのは1970年以降だったりする。

 そんな「ビートル」のイメージを受け継いだのが1998年に登場した「ニュービートル」だ。初代ビートルよりも丸みを帯びたスタイリングは、デフォルメ感も強く、パイクカー的な商品企画ではあったが、中身はアウディと共通のFFモデルということもあって、走りのクオリティは十分以上。メキシコ工場で生産されるということもあって、しっかりと初代ビートルの歴史を受け継ぐモデルという見方もできる。現実的に”ビートル”で中古車を探そうと思うと、このニュービートル以降が無難といえるだろう。

 ニュービートルをフルモデルチェンジし、初代ビートルのフォルムに近づけたのが2011年に誕生した「ザ・ビートル」だ。こちらはフォルクスワーゲン・ジェッタと共通のFF系プラットフォームが使われたこともあって、同じ時代のゴルフにも勝るハンドリングを実現するなど、スタイリングだけのクルマと判断してしまうには惜しいパフォーマンスを持っていた。気持ちよい走りの味わえるクルマだ。ただし、ボディ幅は1.8mを超え、コンパクトカーとはとても言えないサイズに成長はしていた。

 また、ニュービートル、ザ・ビートルのいずれもカブリオレを設定。時代的にはハードトップを格納するタイプが流行していたが、あえて初代ビートルのカブリオレ同様に幌を畳む方式で、なおかつ格納した幌をあえて隠さないスタイルとしていたのはヘリテージを感じさせた。

 そしてメキシコで作られていたザ・ビートルの生産が終了したのが2019年7月。これがビートル80年の歴史のピリオドを打ったと報道されたことで、”80年”という数字が印象づけられたが、こうして振り返ると厳密にいうとビートルの歴史は80年には達していないかもしれない。もっとも、そんな些細なことはその魅力を前にすればどうでいいことだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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モトブログを作ること
好きな有名人
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