EVなのにエンジン音を「耳が壊れる」ぐらいの爆音で垂れ流し! ダッジのコンセプトEVが「おバカなカッコ良さ」全開だった (2/2ページ)

EVの静寂さはマッスルカーには似合わない

 が、「なにもそこまでしなくとも」というのが「FRATZONIC」と名付けられた、架空のエキゾーストノートを発生させる音響システムの搭載。最大126デシベルの大音響がキャビンを満たすとのことですが、126デシベルと言えば飛行機のエンジンや、近くに落ちた雷ほどのボリュームで、ヒトの聴覚に障害をもたらす恐れがあるレベル。

 もちろん、車内の会話なんてなりたつはずもありません。EVの静粛さがマッスルカーにそぐわないという気持ちもわからないではありませんが、ちとやりすぎ、悪ふざけの域を脱していないような気がします。以前、マセラティに装着されていたエキゾーストノートの調節スイッチだって、セールスマンに言わせれば「何度か使えば飽きちゃいますよ」となるし、パワーアップボタンにしても似たような傾向かと。

 ところで、車内で耳が悪くなるほどの爆音ならば車外にも聞こえるのでは? プレミアのムービーを見てみると、やっぱり車外にも排気音は流れる仕組みなようです。もっとも、アメリカも厳しい騒音規制があるのでさすがに120デシベルは出せないはず。ただ、無茶な改造をするアホアホはどこにでもいますから、120デシベルさらに倍! しかも車外にスピーカー向ける! なんてヤカラが出てこないとも限りません。まったく、ややこしいサウンドシステムを作ってくれたものです。

 むしろ、排気音だけでなくちょっと変わったSE、例えばミレニアム・ファルコンがワープするときの音やら、オプティマス・プライムがトランスフォームするときの音なんてのがフルボリューム、しかもシートに仕込まれた接触型スピーカー(アトラクションとかであるアレ)から直接バリンバリンくるほうが先のドミニクなんか大喜びしそうです。

 なんといっても、パフォーマンスだけでなく、あらゆる制御が電気的OSでしょうから、ファームウェアの上書きで楽しめることは全部盛るべき。それでこそ、ダッジらしいアウトローなEVのあり方、といったら乱暴に過ぎるでしょうか。

 いずれにしても、避けることのできないEV化を待つ過渡期に、こうしたエッジの効いたクルマが登場するのは決してネガティブなニュースではないでしょう。


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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