ついに「RS」登場もオートマだけ!? フィットRSは果たしてこれでいいのか? (2/2ページ)

初速で判断する限りフィットRSは市場で受け入れられている

フィットRSメーカー希望小売価格

e:HEV RS:234万6300円

ガソリンRS:195万9100円

 過去のフィットRSを振り返れば6速MTの設定が差別化ポイントとなっていたのも事実で、2ペダルの設定しかない4代目フィットのRSグレードは軟弱に見えるという気持ちも理解できる。

 いまや日本市場はAT全盛であり、AT限定免許の比率もどんどん上がっている。RSにMTの設定がないからといって、それだけで売れないとはいえないだろう。

 実際、フィットがマイナーチェンジを実施してから最初の1カ月での受注状況を調べてみると、全体の台数は約1万9600台と十分に好調といえるレベル。そのなかで、グレードごとの受注比率は次のようになっている。

HOME 40%

RS 24%

BASIC 13%

CROSSTAR 13%

LUXE 10%

 このように4台に1台はRSとなっている。

 オールドファン的には「MTのないRSなんて……」と言いたくなるかもしれないが、実際にオーダーするようなユーザーは2ペダルのRSを求めているのだ。

 ちなみに、他のグレードには4WDも用意されているが、RSの駆動方式はFFのみとなっている。その点でもRSは不利なはずだが、販売比率がこれほど高いということは、ユーザーはMTを求めているわけではない、といえそうだ。

 資本主義社会であるからして、売れていれば正しいと見ることもできる。少なくとも初速で判断する限り、RSは市場で受け入れられているのは間違いない。

 ただし、フィットRSの好イメージは、過去にMTを用意してきたことで築いてきた部分があるのもまた事実だろう。そうした、これまでのブランディングによって4代目フィットのRSが好調に売れていると考えられる。

 もし4代目フィットにおいてMTの存在しないRSを生み出したことで、熱心なファンが嘆き、そしてじわじわとRSの伝統的価値が下がり始めているとすれば、5代目・6代目のフィットにRSを設定したとき、現在ほどのブランド価値を維持できていない可能性も否定できない。

 はたしてホンダの「RS」ブランドの未来は、どうなるのだろうか。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
趣味
モトブログを作ること
好きな有名人
菅麻貴子(作詞家)

新着情報