オールシーズンタイヤって「本当に使える」? ヨコハマ「ブルーアース4S AW21」を試したジャーナリストにド直球質問をぶつけた (2/2ページ)

スノーフレークマーク付きなら冬用タイヤ規制があっても走行OK

編集部:雪道では本当にちゃんと走れるのですか?

嶋田:オールシーズンタイヤには、サイドに“M+S”というマークが刻まれたものと、その脇に山のかたちと雪の結晶のかたちを組み合わせたスノーフレークマークというものが刻まれたものが存在します。

 M+Sはマッド+スノーの意味で、一般的な夏タイヤと較べれば雪道でも優れていますよ、くらいのもの。そしてスノーフレークマークは、ASTM(米国試験材料協会)という世界最大級の規格設定機関が定める諸条件をクリアしたものだけが提げることを許されたマークで、つまりは雪道においても十分な性能を発揮できるタイヤとして認証されている証です。

 このマークがついているタイヤは、高速道路の冬用タイヤ規制がかかってる区間でも通行することが可能です。ブルーアース4S AW21にも、もちろんスノーフレークマークが刻まれていますので、臆することなく積雪地帯の山へと向かう峠道へと滑り込みました。

 最初は雪解け水によるウエット路でした。ここでは普通の夏タイヤと何ひとつ変わらない安定っぷり。次第に足もとはシャーベット状へと変わり、さらに登っていくと路面はアスファルトとシャーベットと圧雪が入り混じった路面へと装いを変化させていきましたが、排水性と排雪性に優れてるのでしょう、無謀な運転を試みない限りはきっちりとしたグリップを見せてくれました。安心感がとても高かったのです。

 その印象は、完全な雪道になってからも変わらず。コーナーでも登り坂でも、嫌な汗をかくことなど一度もなかったほどスムースに、そしてイージーに走ることができました。

 誰もいない広い駐車場でいろいろと試してみたのですが、思い切りブレーキペダルを踏んでみてもABSを作動させつつしっかりと速度を落としてくれましたし、さほど深くなければ雪が踏みしめられていないところでもなにごともなく走れました。雪道もちゃんと走れるか? という問いには、はっきりと頷くことでできますよ。

 ただし、オールシーズンタイヤは、凍結路に関しては得意分野とはいえません。都市部であっても雪が降った翌朝の凍結には最大限の注意を払うべきですし、路面のすべてが雪と氷とシャーベットなんてことになりかねない季節の積雪地帯に突入するには、やっぱり荷が重いです。その場合には迷わずスタッドレスタイヤをチョイスするべきでしょう。

 最後に、ごく個人な想いを少々。時代が進んで、オールシーズンタイヤもどんどん進化を重ねています。今回はヨコハマのブルーアース4S AW21を引き合いに出してお話を進めましたが、単に“転ばぬ先の杖”というのにとどまらない実力の高さに、正直なところ感服させられました。

 雪の降る可能性がある季節に、都内を走るクルマのすべてがこうしたタイヤを履いていれば、クラッシュやスタックに見舞われる車両が減って、悲しい想いをする人も少なくなるし、地獄のような渋滞に巻き込まれる可能性もかなり減らせるのに……と思います。

 僕は今、趣味のクルマしか所有してないのでそもそも雪が降りそうなときに乗って出ることもないのですが、暮らしの日常的な相棒といえるクルマを手に入れたら間違いなくオールシーズンタイヤだな、とあらためて思わされました。今、僕の中ではブルーアース4S AW21が候補の最右翼です。


嶋田智之 SHIMADA TOMOYUKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
2001年式アルファロメオ166/1970年式フィアット500L
趣味
クルマで走ること、本を読むこと
好きな有名人
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