ハイブリッドカーには「沢山の種類」が存在する! もう迷わない「システム」と仕組みを整理して解説 (2/2ページ)

思いもよらない方式のハイブリッドが登場するかもしれない

 さて、日々刻々と進化するHV方式だが、進化に合わせて多様化し、耳慣れない言葉が次々と登場してくる状態だ。おさらいというわけではないが、目に付いたものを拾い上げてみた。簡単にその内容を紹介することにしよう。

 まず、PHV(トヨタ)/PHEV(日産、三菱、ホンダ)だ。プラグイン・ハイブリッド・ビークルとプラグイン・ハイブリッド・エレクトリカル・ビークルの略だが、その名のにとおりプラグイン、つまり外部電源からの充電が可能なシステムである。

 このため、大容量バッテリーを搭載すれば、モーター動力のみでの可動範囲を広げることが可能となる。実際、プリウスの例を挙げれば、プリウスHVのモーター動力はガソリンエンジンの補助的な役割でしか機能しないが、プリウスPHVでは最高135km/hまでモーター動力のみでの走行が可能である。充電能力が高く、かつ廉価な家庭用電源(3相も含めて)で大容量バッテリーに充電を行い、電気モーター動力を主体とするHVシステムの構成が特徴となっている。

 なお、PHVとPHEVの違いだが、電気モーターに主眼を置いたHVシステムという意味で、PHVにE(電気)を付け加え、Eを強調したシステム名としたところにメーカーの狙いが込められている。

 また、簡易ハイブリッドシステムとしてマイルドハイブリッドというシステム名が使われている。文字どおり、穏やかな効果のハイブリッドシステムという意味で、モーターのみでの自走が可能なハイブリッドシステムをフル(ストロング)ハイブリッドシステムと呼ぶことに対し、動力は内燃機関だが、内燃機関のウイークポイントを補うかたちで電気モーターを補助動力として働かせる方式をマイルドハイブリッドと呼んでいる。もちろん、電気モーターのみでの走行はできず、モーター出力、バッテリー容量とも小さな規格でまとめられている。

 BEVとFCVは、ともにEVのシステムを表すもので、BEVはバッテリー・エレクトリック・ビークルの略で、バッテリーを電力源とするEVを指した表記である。この表記、瞬間的には考えてしまうが、要するに、いま一般的に言われているEVのことである。

 では、なぜわざわざバッテリーのBを表記したのかと言えば、同じEVであるFCVと区別するためだ。FCVもEVながら、電力源をフューエル・セル、いわゆる燃料電池に依存するEVであるため、電力源がバッテリーか、燃料電池かで区別される表記である。

 ちなみに、燃料電池とは、水素と酸素の化学反応によって電力を作り出すバッテリー(発電装置)のことで、大気中の酸素と車載タンクに補填された水素の化学反応によって電気を作り出すため、一定の化学反応が続けば水素は空になる。このため、水素スタンドで水素を補給する作業が必要となる。すでにいくつかのメーカーがこの方式にトライ。トヨタのMIRAIやホンダのクラリティがよく知られる存在だ。

 このほか、レンジエクステンダーという表記のEVシステムがある。基本はバッテリーによるEVシステムだが、バッテリー容量を超えた航続距離を可能にするため、発電専用の小型エンジンを搭載してバッテリーに充電、この電力を使って走行距離の伸長(エクステンド)を図るEV方式である。

 ちなみに、日産e-POWERは、搭載するエンジンでの発電を電力源としているが、レンジエクステンダーのエンジン発電量は小さく、あくまで補助電力供給用としか活用されない点にあり、両者はこの点において大きく異なっている。

 これから先、EVの時代は刻々と近づきつつあるが、電力の供給(インフラも含め)はいろいろな方式が考えられ、現在考えるEVとは、また異なる形態のEVが登場してくることは想像に難くない。HV、EVとも過渡期、発展途上期にあり、将来的にどんなものが登場してくるのか、興味は尽きない。


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